《ブラジル》コロナショックで時短・給与削減の対象者に補助金=社会保障担当機関の業務軽減策も

パウロ・ゲデス経済相(Tania Rego/Agencia Brasil)

 【既報関連】ブラジル政府は18日、「就業時間と給与を企業側が最大で半減することを許可する措置」を検討していると発表。翌19日には、給与が法定最低賃金の2倍以下で、この時短、給与削減措置の影響を受ける労働者に補助金を出すことも計画していると発表した。
 政府はまた、新型コロナに感染したことで、仕事が出来なくなった労働者にも、治療に費やした最初の15日分の給与を補填する計画であることも併せて発表した。19日付現地サイトが報じている。
 「時短、給与削減措置」とは、コロナショックで資金繰りに苦しむ企業が、労働者と合意の上で、「1日の就業時間を8時間から6時間にし、給与も25%カットとする」措置だ。
 給与削減幅を50%以上にしてもいけないし、削減50%以内だとしても、支払い給与が法定最低賃金を割り込んでもいけないとしている。
 政府の想定では、「2最賃以下で、時短労働、給与削減措置」の影響を受ける労働者は1100万人で、今回の措置に伴う経費は100億レアルに及ぶ見込みだ。政府はこの100億レアルを労働者支援基金(FAT)から捻出する方針だ。
 政府は「時短、給与削減措置」は最大で今年いっぱい(非常事態宣言の有効期限)までと想定しているが、低所得で、時短、給与削減措置を受けた人々への補助金支払いは3カ月しか想定していない。労働者が短期間で解雇された場合、今回の措置で政府が支払った金額は、その後に労働者が受け取る失業保険から差し引かれる。
 補助金の額は、「失業した場合に月々受け取れる失業保険給付金の25%」と経済省は発表している。
 この場合の受け取り額は、労働者1人あたり最低250レアルだが、経済省労働特別局のブルーノ・ダルコモ局長は、 「250レアルはあくまで最低ライン。多くは250レアル以上を受け取るだろう」と語った。
 政府はこれらを暫定令(MP)として提出するか、通常法案(PL)として提出するか、態度を保留している。ただし、コロナウイルスに感染した人への15日分の給与の支払いについては、PLで扱う必要がある。現行法では最初の15日分の給与は、雇用主が負担することになっているが、政府が負担することで、企業側の負担を軽減し、雇用維持を促すことが狙いだ。
 同省はまた、低所得高齢者や身障者の特別恩給(BPC)、および疾病給付金(アウシリオ・ドエンサ、AD)を要請した人々に、通常なら必要な医師の監査を待たずに200レアルを支払うとも発表した。これは、高齢者や病気を抱えた人々が集まり、集団感染を起こすのを防ぐことを目的としている。BPCやADの給付を申請したが、INSSが指定する医師の鑑査を受けていない人は、ネットに添付するなどして送った個人医の診断書を監査の代用としてもらえる。
 また、各種の給付金などの申請をインターネットで行えるよう、サイトの充実、強化も約束。BPC受領に必須だった社会プログラムの統一システムへの登録も、120日間、免除される。
 INSSはコロナショックが発生する前から、各種の給付金や恩給、年金の受給申請がさばききれず、審査待ちの列がパンクしていた。そのため政府は、ネットを使った申請を促進し、手続きを簡素化することで、コロナウイルス感染拡大で発生する窓口対応時間の短縮に対応。それと同時に、INSS職員を給付金、恩給、年金支払いの審査に集中させることで、審査待ちの人の列を少しでも早く解消させることを狙っている。