コロナ=全国で死者92人、うちサンパウロ州68人=悪化続けば都市封鎖も選択肢に

サンパウロ州のジョアン・ドリア知事(右)とサンパウロ市のブルーノ・コーヴァス市長(25日のコロナ対策に関する記者会見、secom via Fotos Publicas)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、全国の感染者は27日午後4時現在の保健省発表で3417人、死者は92人と急増中だが、状況がより深刻なサンパウロ州では、重症者や死者の増加傾向が続く場合に備え、州閉鎖も考え始めていると27日付現地紙、サイトが報じた。
 サンパウロ州では2月26日に全国初の感染者を確認、3月16日には全国初の死者も出た(確認は17日)。同州の感染者は、最初の感染者確認から30日目の26日に前日比22%増の1052人となり、死者は前日比10人増の58人となった。
 同州の感染者は若者も多いが、死者は高齢者や慢性疾患患者が中心だ。26日に確認された死者も、36歳の慢性疾患患者を含む92歳までの男性7人と64~77歳の女性3人だった。22日までの死者22人は皆、サンパウロ市で確認されたが、それ以降はサンパウロ大都市圏や内陸部でも死者が出ており、22~26日の死者は163・6%増えた。エスタード紙によると、26日現在の重症者は前日比42%増の84人だ。
 同州の保健関係者は、同州の感染者数が全国の36%、死者は75%を占めている事などから、同州での外出自粛令発令は遅過ぎたと見ている。同州の致死率は5・5%で、全国平均の2・7%より高い。
 このような現状を見、ジョゼ・エンリケ・ジェルマン州保健局長は「現行の外出自粛令は互いの間に距離を置いて感染拡大を抑制するため」と説明。より厳しい規制が必要となれば自宅での社会的隔離へ進むが、状況が悪化し、感染拡大で医療危機が起きれば、「ロックダウン」採用の可能性も口にした。
 ロックダウンは中国の武漢を始め、イタリアやフランスなどでも採用された都市などの封鎖で、25日にはインドが国家として採用。26日には東京都が採用の可能性を示唆した。
 新型コロナウイルス感染症の主な症状は乾いたセキや発熱、喉の痛み、呼吸困難などだが、においや味がわからなくなる人もいる。また、症状が出ない人や発症前に他の人に感染させた例も報告されており、最善の感染回避策は、閉鎖された空間や人ごみ、他者との接触を避ける事だ。