見直される靴を脱ぐ日本の習慣=問い直されるあいさつの抱擁=聖市在住 佐藤フランシスコ紀行

靴を脱ぐという習慣が今見直されている

 世界保健機関(WHO)の3月29日データによると、イタリアの新型コロナウイルスの感染者数9万2472件、死亡者数1万23人、米国の10万3321件、死亡者数1668人と比較すると、日本の1693人、死亡者数52人という数字は小さい。
 日本では早々と1月15日に最初の感染者が発生して、学校が臨時休校になりました。ですが、今では北海道など小中学校の登校を再開した地域もあります。
 日本は世界で高齢者が一番多い国なのに、なぜ感染者数は少ないのでしょう。日本人の生活習慣が、他の国のような新型コロナウイルス感染の急激拡大を遅らせているのかもしれません。
 「靴を履いて家に入らない」というのは、そのような習慣の一つです。寺や神社の建物に入るときもそうですし、校舎(大学を除く)の入り口では靴を脱いで上履きに履き替えることが習慣になっています。
 主要メディアではほとんど語られていませんが、ヨーロッパでは家を出ない高齢者がCOVID―19に感染していると指摘されています。
 高齢者に食事を持っていく子供や介護者は、アルコールジェルで手を消毒し、高齢者には近寄らず、家のドアノブや手すりの掃除にも気を配っています。
 でも、靴は脱いでいません。これが大問題です。
 家の外では地面に唾を吐いたり、嘔吐したり、タバコの吸い殻を捨てたりする人がいますし、犬や猫が路上でおしっこをしたり、糞をしたりしています。歩道から家の中に入った人は、この汚れやウイルスを靴で運んでいます。
 外出しない高齢者は歩道との接触はないかもしれませんが、ペットや子供が足をつけたソファに座ったり、床から拾ったボールやおもちゃをソファに置いたりすると、汚染の可能性があります。
 世界の人々への実用的なヒントは、靴を脱いで玄関に置いておくことと、家の中を歩くためのスリッパを用意することです。水で溶かした塩素系漂白剤(Água Sanitária)で湿らせたタオルを床に置いておけば、靴の裏からウイルスを排除する解決策になります。
 漂白剤の塩素は70度のアルコールよりも効率的だと言う専門家もいます。

靴を脱ぐ習慣だけではない

 日本人は遠慮するから何時も控えめですね。それも新型コロナウイルス感染が拡大しないことと関係があると思います。
 例えばイタリアとかブラジルでは直ぐハグ(抱擁)とかキスをする習慣があります。家に帰ったら子供にキス、お祖母ちゃんにもキス。男友達同士はハグ、ビジネスでも初めて会った人と握手は当たり前です。
 各国の習慣は理解できますが、ヨーロッパでの新型コロナウイルス感染の拡大との関係が疑われるエピソードがあります。
 中国武漢市から始まったCOVID―19で世界的に大騒ぎになって、米国のトランプ大統領は中国人や中国から来た人の入国規制を決めました。

トスカーナ・デイリー紙2月1日付に掲載されたナルデラ市長による#abbracciauncinese(中国人にハグをしましょう)キャンペーンの記事

 ですが、これに反対するため、イタリアのフィレンツェ市ダリオ・ナルデラ市長(イタリア、トスカーナ州の州都)が2月1日、「中国人に対して一部の人が行う心理的なテロや略奪行為は許されない」と発言して#abbracciauncinese(中国人にハグをしましょう)と言うキャンペーンをツイッターで始めました。自分たちは差別をしないことを示すためです。
 画像は、当時のトスカーナ州の新聞記事です。そのキャンペーンに基づいて中国人がイタリアの大都市の広場で手書きの看板を抱えてハグやキスをもらうシーンがSNSで投稿されるようになりました。下のビデオは中国のテレビ局が報道しているもので一人の青年しか映っていませんが、沢山の中国人が集まっている所もありました。

そのキャンペーン動画

 もちろん、このキャンペーンのせいでイタリアがヨーロッパで一番感染者の多い国になったとは言えません。ですが、WHOが強く推奨する「社会的な距離」政策を尊重するなら、今はこのようなことはしない方が良いと思います。もちろん中国サイドは大歓迎してそのことを大きく宣伝しています。(出典http://www.culturajaponesa.com.br/index.php/coronavirus-habito-em-japones/