コロナ抑制の成否が来年の景気を占う

 新型コロナウイルス対策として保健相や知事達が打ち出した外出自粛策などを、ボルソナロ大統領が批判して物議を醸す最中の3月31日、G20財相・中銀総裁の電話会議が開かれた。
 国際通貨基金のクリスタリーナ・ゲオルギエヴァ専務理事は会議中、「来年の景気回復の見通しはコロナ禍の終息と景気の不透明感払拭次第」とかなり否定的な調子で語った。同氏は先週、「今年の景気は国際的な金融危機の時と同じかそれ以上に悪い」と語ると共に、「来年は回復する可能性あり」との希望的観測も付け足していた。とはいえ、その時も同氏は、回復の条件はコロナ禍終息と保健システム強化と述べていた。
 カリサ・チエネ汎米保健機関事務局長も3月31日、ラテンアメリカのコロナ禍はまだ悪化と語り、外出自粛などの社会的隔離策が唯一の対策と強調。保健システム強化のために投資するようにも説いた。
 全ての状況が社会的隔離策の必要を説き、米国なども外出自粛を求める中、ボルソナロ大統領は一人で「ブラジルは止まってはいけない」キャンペーンを行っていた。そんな彼が遂に、「命を守る事が第一」と言い出したのは、ようやく3月31日の夜だった。
 この日は感染者が前日比1千人以上(25%)増えて5717人、死者も42人(26%)増えて201人となったし、米国の死者数が中国を超えた。
 ブラジルは検査の遅れで実態把握が難しい。だが、イタリアでは外出自粛令を早めに出した市は感染者や死者が少なくて済んだのに、採用が遅れた市は感染者や死者が急増した。ブラジルの感染者は最初の千人こそ25日かかったが、次は3日で千人増、以後は実質2日で千人ずつ増えている。
 今こそ一刻も早く、厳格なコロナ対策が鍵と大統領が認め、州知事らと一致団結して取り組むべきだ。そうすれば、先行き不透明感を拭う事ができ、命を守り、かつ、景気回復への歩みを早められるはずだ。(み)