サンパウロ州コロナ禍=死者続出病院の背景を捜査=市保健局は営業停止を要請

 【既報関連】サンパウロ州検察局が1日に、サンパウロ市のサンタ・マジオレ病院での新型コロナ感染症拡大に関する新たな捜査を開始したと同日付現地紙、サイトが報じた。「サンタ・マジオレ」は、高齢者向け保健プランを運用するプレヴェント・セニオルが経営する8病院に付けられた名前で、パライゾの病院では全国初の新型コロナによる死者が出た。
 同病院は高齢者に対応しており、ハイリスクの患者が集中しているが、死者が出るまで、コロナに感染した患者や疑似症患者がいる事が州保健局に報告されてなかった。1日の捜査開始時点でのサンパウロ州のコロナ感染症の死者139人中、79人は同病院網での死者だ。
 新たな捜査では、州保健局がコロナへの感染拡大を防ぐために定めた規定が正しく適用されていたかなどを調べる。報告義務を怠った、職務怠慢に関する捜査は3月30日に始まっている。
 新たな捜査開始に際して、プレヴェント・セニオルは、患者が新型コロナに感染しているかは救急外来での診察時に検査しており、院内感染は起きてないとしている。
 だが、州保健局と市保健局による監査では、重症患者の検査を行っていない、集中治療室が感染者用と非感染者用に分けられていないなどの問題点も見つかっている。
 この状態は、州保健局や国際保健機関が定めた新型コロナ対策が適切に適用されていない事を示す。また、病院側が報告を怠った事で、保健局も必要な指導を行えなかった事、コロナに感染していない患者や現場で働く医療関係者への感染の可能性が非常に高かった事も明らかになった。
 病院網の監査は、州保健局が単独で行った1回も含めた3度で、サンパウロ市保健局は3月29日、パライゾ、ピニェイロス、サンタセリシアの3病院の営業停止を州保健局に要請。エンリケ・マンデッタ保健相も3月31日、「免疫力のレベルも違う高齢者を何百人も扱うのに、院内感染を招き、重大な事態を招いた」として、営業差し止めの可能性を示唆した。
 1日現在の聖州の感染者は2981人、死者は164人だが、同州ではコロナ感染が疑われる死者が201人いる上、同州で1万6千件、全国では2万3千件の検査が結果待ちで、感染者、死者共に、実態把握が出来ているとは言い難い。
 感染が疑われる死者の中には、ミナス州の小児科病院で死亡した子供の例も含まれる。このような現状を受け、国家法務審議会と保健省は3月31日、呼吸器系疾患で亡くなった人について、死因が特定出来ていなくても埋葬する事と、死後60日以内に死亡証明書を発行する事を認めた。