《ブラジル》新型コロナウイルス感染者9056人、死者359人に=4日には1万人の大台超え確実か=連日1千人超の増加判明

定例会見で実情などを報告するエンリケ・マンデッタ保健相(Neila Rocha/MCTIC)

 【既報関連】ブラジルでは新型コロナウイルスの感染拡大が続き、3月31日以降、感染者は連日、1千人以上増加を記録中だ。国民の半数がコロナ感染者が確認された市に住んでいる状態で、午後5時の保健省の発表での感染者は前日比1146人増の9056人、死者は60人増の359人となっていると2~3日付現地紙、サイトが報じている。4日(土)には感染者が1万人の大台を超えることは確実と言えそうな状況だ。
 コロナウイルスの感染拡大は急速だ。ブラジルの死者増加数は1日数十人規模だが、米国では2日だけで1千人余りが死亡した。英国でも3日に684人など、感染者や死者数の記録更新が続いている。
 ブラジルでの感染者数や死者数の急増は、検査の実施数が増えた事と関係がある。2日現在の感染者数が、サンパウロ州の3506人(死者208人、以下同)、リオ州の992人(41人)に次ぐ3位で550人(7人)のセアラ州は、検査を積極的に行っているから、実数に近いはずと言っている。分析が遅れている他州の検査結果が出揃えば、数が急増する可能性も高い。
 検査で判明する感染者や死者は、必ずしも発表当日のものではなく、死亡後に検査結果が出る例も多い。その事は、3月30日に保健省が発表した死者数159人(前日比23人増)中、当日の死者は2人だけだった事でもわかる。
 特記すべきは、2日に保健省が1月23日にミナス州で死亡したと報告した75歳の女性の例だ。感染検査は重度の呼吸器系疾患による死者や入院経験者にも行われており、ブラジル初の死者発生情報書き換えかと見られたが、保健省は3日に女性の死亡したのは3月25日だったと訂正した。
 感染者や死者急増のもう一つの理由は、コロナウイルスは無症状の人や発症前の人からも感染する事だ。発症前の人からも感染する点はデング熱やインフルエンザも同じだが、コロナウイルスは発症前の人や無症状の人からの感染率が高く、中国では46~62%が発症前か無症状の人からの感染だったという。
 発症前の人や無症状の人は感染していても気づかず、発症者や発症者と接触した人に採られる隔離措置の対象外となる。
 この場合は本人も周囲の人も感染予防意識が薄く、不用意に、かつ不用心な人と接する機会も増える。そういう意味で、発症前の人や無症状の人との接触や感染を防ぐ唯一の方法は、不要不急の外出を避けるなどの社会的隔離策となる。
 ボルソナロ大統領は経済を損なうとして、知事達の採った社会的隔離策を批判したが、必需サービスは維持する必要がある事は、保健相や知事達も十分に承知している。
 サンパウロ州やサンパウロ市で、当初の外出自粛令で営業が禁じられていた建築資材店などに営業許可が出たのはその一例だ。保健相も、物流を止めれば薬や医療現場で使う安全具さえ届かなくなる事を危惧、国と州が調整する必要がある事も示唆した。
 また、世界保健機関や保健省は、感染者からの飛沫感染防止と共に、無症状の人からの感染拡大を防ぐために、非感染者や無症状者にもマスクの着用を勧め始めた。保健省は布製マスクも有効とし、積極的使用を奨励している。