《ブラジル》コロナ禍=解析力不足で検査数増足踏み=州検察局、現状を問題視

検査証を見せるリオ州の医療関係者(Antonio Rezende/PMRJ/FotosPublicas)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染拡大抑制が急務となる中、各州が検査を加速するための工夫を行っているが、検査の実施数や解析能力には問題があると、6~7日付現地紙サイトなどが報じている。

 感染拡大を防ぐには、誰が感染しており、誰は隔離すべきかなどの情報が必要だが、実際には、サンパウロ州だけで1万7千件もの検査が結果待ちという状態が続いている。
 検査を受けられないとか、検査を受けても結果が出ないという状態は、感染拡大抑制には大きな足かせとなるため、サンパウロ州政府はサンパウロ総合大学(USP)ブタンタン研究所に検査キットの増産と共に、検査のまとめ役を依頼。7日にはサンパウロ市のアドルフォ・ルッツ研究所で滞っていたサンプルを、アルベルト・アインシュタインやフレウリといったサンパウロ市内の研究所や、内陸部にある研究所に振り分ける作業が行われた。
 ただし、サンプルを解析する研究所数は増えても、反応薬の供給量などの問題もあり、現状で処理出来るのは、10日間で9千件の見込みで、結果待ちの人の列はなかなか減りそうもない。
 ジョアン・ドリア知事の要請で検査用キットを増産し始めたブタンタン研究所は、オズワルド・クルス研究院にもキットの供給の話をし始めた。また、USPやカンピーナス大学、リオ連邦大学など、国内の諸大学や研究機関で検査の開発も進んでいる事などから、検査の実施は加速化する見込みだ。
 一例はリオ州で、7日から、コロナ感染症の患者への対応数の多い病院を皮切りに、医療関係者への検査を始めた。
 ただ、購入可能な検査キット数や解析能力、反応薬の供給量などの限界もあり、重症者への検査を優先せざるを得ない州もあるのは事実だ。

 サンパウロ州の場合、州保健局が3月に医療関係者と重症者のデータのみを送るようにとの指示を医療機関に出した事を問題視した会計検察局が、3月30日に、検査数を増やす事と、陽性と出た例は症状の程度に関わりなく報告するよう、州政府に求めた。また、州検察局人権担当検事らは2日、重症例だけ報告するようにとの指示を出した件に関する捜査を始めた。サンパウロ州での検査は、医療関係者と重症者、入院患者に限られているのが実情だ。
 重症の場合は検査をという指示は保健省も出している。ただし、同省発表の感染者数には、検査は行っていないが、医師がコロナ感染症と判断したケースも入っている。