《ブラジル》新型コロナ感染2万3430人、死者1328人=各地で限界近づく患者対応力=リオ州のUTIは7割埋まる

保健省のワンデルソン・オリヴェイラ健康監視局長(左)と、ジョアン・ガッバルド事務局長(flickr : Palacio do Planalto)

 【既報関連】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者や死者の増加は止まらず、13日午後5時のブラジル保健省発表で、感染者2万3430人、死者1328人を数えるに至った。12、13日付現地各ニュースサイトが報じている。
 6日現在のブラジル全体の死者数は553人(保健省集計)だったが、13日は1328人と、8日で2・4倍に増えた。コロナウイルスは感染力が強く、感染者が1万人を超えたのは4日で、11日には2万人突破のように、短期間で感染者数が急増するため、各自治体の患者対応能力も急速に圧迫され始めている。
 最も恐れられているのは、医療器具や設備などの物的資源や人的資源が足りなくなって医療崩壊が起きて、本来なら助かるはずの命が失われることで、ブラジルでもその現象が起きつつある。

 州別感染者数が4番目に多いアマゾナス州は重症コロナ患者に対応できる集中治療室(ICU)のある病院が州都マナウス市にしかなく、10日夜、その病院の対応能力が限界に達したため、12日夜、同市北部に臨時病院を開院した。
 マナウス市は10日の時点で、「臨時病院の開院は数日中」としていたが、重症コロナ患者に対応できる病床が底をついたため、臨時病院の開院前倒しを決定。集中治療室(ICU)18床でひとまず開院となった。

 州別感染者数が2番目に多いリオ州では、13日朝の時点で、州内のICUの病床の70%がCOVID-19患者で占められた。
 リオ州は12日現在で2855人の感染と170人の死亡が確認されており、さらに115人の死者がコロナ感染者だった疑いがある。115人については、州当局が調査中だ。同州では、12日早朝から13日早朝までの24時間でCOVID-19による死者の数が15人増えた。同州内で感染者数、死者数ともに最多のリオ市では、13日朝の段階で1996人の感染と106人の死亡が確認されている。

 州別の感染者数、死者数が全国一多いサンパウロ州の中でも、感染者、死者の数が最多の聖市は、大型テントによる臨時病院を2カ所建設し、病床数を拡大したが、予断を許さない状況が続いている。
 6日から軽症者(人工呼吸器などの器材が不要の患者)を中心に患者の受け入れを始めたパカエンブー競技場内の臨時病院では12日、臨時病院開院後、初めての死者が出た。犠牲者はシャーガス病(刺し亀病)の病歴を持っていた36歳の男性で、容態が急速に悪化して死亡した。
 パカエンブー臨時病院は軽症患者中心に200人を収容でき、12日昼過ぎ時点で61人が入院していた(55人は軽~中程度の患者。6人は器材が必要な患者)。
 広さとしては1800人分のベッドが入るが、まだ326床しか置かれていないアニェンビー臨時病院には13人(1人は器材を要する患者)が入院していた。
 両病院はまだ余裕があるが、感染者は今後も増え続けると予測されており、サンパウロ市はイビラプエラ公園近くにあるスポーツ施設の敷地内にも臨時病院を建てている。