コロナ禍=回復した人々が点す希望の灯=若い、持病ないとの油断禁物

自宅療養を始めたナタリナ氏(6日付G1サイトの記事の一部)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染が拡大する中、回復した人々が「希望を失わないで」と呼びかけたりする姿が現地紙やサイトで報じられている。
 一例は6日に退院し、サンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポス市で自宅療養に入ったナタリナ・シロナ氏(96)だ。彼女はコロナに感染前、脳血管障害を起こして入院し、3月17日に退院した。だが、その直後にセキと呼吸困難を伴う発熱が起きて病院に戻ったところ、コロナ感染が判明した。彼女は集中治療室に12日間入院後、6日に退院許可を得た。
 「本当に大変だけど、希望を失わないで。足や胃の痛みは残っているけど、食べているし、ゆっくりだけど歩いている」というのは、ナタリナ氏自身だ。彼女は子供がおらず、コロナに感染したが軽症の姪と自宅療法を続けている。

 13日には、サンパウロ州サントス市の集中治療室に2週間入院していた夫婦が、皆に祝われながら退院するビデオが公開された。妻は41歳の看護師、夫も46歳という夫婦はセキと呼吸困難で入院した。妻は2カ所の医療機関で働いており、常に注意深く行動していたが感染した。人工呼吸器を使っていたため、会話は出来ず、手紙をやり取りしながらの2週間だったが、妻は入院当日、「呼吸が出来ず、死にそうだ」と妹に電話をかけている。夫婦は自宅に戻ったが、今も会話は不自由だという。
 だが、全ての人が回復している訳ではなく、危険因子はゼロとされる人もコロナとは無縁ではない事を明らかにする例もある。

12日の保健省の記者会見で(Maecello Casal Jr./Agencia Brasil)

 13日付G1サイトが報じたのは、サンパウロ州プライア・グランデ在住で、コロナに感染するまでは健康そのものだった40歳の男性の例だ。男性は発症後4日間、様子を見ていたが、3月27日に呼吸困難を起こし、集中治療室に入れられた。感染確認は入院から11日後で、その時は肺、心臓、腎臓もやられており、15日後に死亡した。
 病院は感染確認後も症状が出ていないからとの理由で家族への検査を命じなかったが、自腹で受けた検査の結果、家族も陽性だったという。
 保健省によると、死者に占める60歳未満の人の割合は、3月27日の11%以降、4月3日15%、12日25%と増加中だ。また、危険因子がない人の割合も、3月27日15%、4月3日18%、12日26%と増加中だ。唯一の感染拡大防止策は社会的隔離と言われる中、大統領の反対にも関わらず、「家にいて!」と叫ぶ声は日に日に高まっている。