東西南北

 新型コロナウイルス対策の隔離政策に反対する11日のサンパウロ市のデモは世界的に報じられ、かなりの物議をかもした。死者が1万人に達する国も珍しくなくなっている欧米では当然、批判的な声も上がっている。だが、そんな中、日本でのツイッターなどでの反応には、安倍政権の隔離対策に対し、「仕事が休業中の補填に不満」とする声も多いことから、「こういうデモは起こるべくして起こる」と、理解を示す声も少なくなかった。デモ関連の報道には「ブラジル国民の8割が隔離に賛成」とただし書きがされていたが、やはり、大統領が日頃からどういう言動を行い、どういう層がデモに参加したのかを知る必要がありそうだ。
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 ブラジルの隣国、アルゼンチンはここまで、コロナへの感染者、死者数ともにブラジルのおよそ10分の1ほどの数に封じこんでいるが、フェルナンデス大統領はそれでも浮かれることなく、今月26日までの社会的隔離政策をしっかりと守る意向を表明している。同大統領曰く、「10万人の命を失うくらいなら、経済が10%悪くなった方がマシだ」。フェルナンデス氏の現在の支持率は94%に達している。隣同士の国で大統領の態度がこうも違うものか。
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 クアレンテーナの間、財政的に厳しくなるところが出てくるのは確か。ブラジルの場合、死者が1日約100人というペースで増え続けているのに、まだピークにもさしかかっていないとされており、感染者や死者の数が増え続けることが予想されている。なんとか、一つの山場とされる5、6月まで持ちこたえてほしいところ。