《ブラジル》新型コロナ感染2万5262人、死者1532人=本当の感染者は既に30万人超か?

アマゾナス州マナウス市臨時病院の様子(参考画像・Mario Oliveira – SEMCOM)

 【既報関連】ブラジルの新型コロナウイルス感染者は、11日に2万人を超えた。しかしながら、二つの独立系調査団体の調べによると、本当の感染者数はその12~15倍に上る。本当の感染者数が判明しない理由は検査体制がぜい弱だからで、既にエンリケ・マンデッタ保健相も認めていると、14日付ブラジル各ニュースサイトが報じた。

 保健省が14日午後4時45分に発表した新型コロナウイルス感染者数は2万5262人、死者数は1532人だ。
 「本当の感染者数は10倍以上」との調査をまとめたのは、国内の複数の大学に所属する科学者や学生で構成されるCOVID-19ブラジルと、リオ州カトリック総合大(PUC-RJ)、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)、ドール研究所の所属研究者らで構成されるNOISだ。

 COVID-19ブラジルは、11日時点での感染者数は31万3千人と試算している。これは同じ日の保健省発表2万727人の15倍だ。
 NOISは、10日時点での本当の感染者数を23万5千人と試算。同じ日の保健省発表1万9638人の12倍だ。
  COVID-19ブラジルは、世界の国々の内、人口比で最も多く感染検査を行った韓国の感染者数推移グラフを参考にした上、数学モデルも使用して、韓国で記録された死亡率をブラジルの年齢ピラミッドに適用し、ブラジルの推定感染者数を概算した。
 調査責任者ロドリゴ・ガエテ博士は、「死者数から逆算すれば最も正確にコロナ感染者の近似値を割り出せるが、ブラジルでは正確な死者数のデータが出ておらず、そこから割り出された31万3千人の値も、実際より低く出ている可能性がある」としている。
 ガエテ博士は、一時は3~4日毎に倍増していたイタリアやスペインなどと比べると、ブラジルの感染者増加ペースは緩やかだとしている。ブラジルでの推定感染者数は4月1日で10万4千人、11日で31万人だから、10日間で3倍だ。
 同博士はまた、「社会的隔離政策を緩めれば、感染者推移グラフも全く異なった曲線を描く可能性がある。保健省の公式発表では、感染者数はたったの2万3千人。これでは人々に『隔離なんてすることない』との印象を与えかねない」とも警告している。
 これに対し、マンデッタ保健相は13日、「感染者も死者も実態よりも少なく出ていることで、政府によるコロナ抑制政策への判断が鈍ることはない」と語った。
 このように、迅速な感染検査を行い、実態を正確に把握することが急務だが、ブラジルでは検査数と研究所の解析能力の不足が足かせになっている。
 8日には中国から輸入された簡易感染検査キットが盗まれる事件が起きたが、サンパウロ州市警は13日に、同州グアルーリョス市で盗品キットを販売していた容疑者2人を逮捕した。警察は買い手のふりをしたおとり捜査で容疑者を摘発。キット875個と現金6800レアルを押収した。検査キット盗難事件の逮捕者はこれで16人になった。