サンパウロ州=呼吸器系疾患での入院急増=昨年超え、半分は60歳未満

サンパウロ市パカエンブーに設営された臨時病院(TV Globo/Divulgação)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染拡大が最も著しいサンパウロ州では重症急性呼吸器症候群(SARS、ポ語はSRAG)で入院する人が急増し、3週間で昨年1年間の入院患者数を超えたと14日付現地紙、サイトが報じた。

 G1サイトが報じたのは、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)の風邪情報(Infogripe)の3月8~28日の数字だ。同期間中のSARSによる入院患者は9759人で、19年通年のSARSによる入院患者の9701人を超えている。
 内1727人はコロナウイルス感染者で、234人は別のウイルスに感染していた。また、963人は陰性か検査していない、情報がないだが、5664人は検査結果を待っているという。
 同期間中のサンパウロ州でのコロナ感染者数は16人から1406人に増えており、入院患者中の感染者1727人を上回っているが、これは検査結果がその後に出たケースも含んでいるからだ。4月13日現在の同州の感染者数は8895人だ。
 サンパウロ州でのSARSによる入院患者は、2月の最終週が196人、3月1~7日も367人だったが、3月第2週以降は、3月8~14日1430人、15~21日3772人、22~28日4557人と急増している。
 専門家は、インフルエンザの予防接種前倒しにより、SARSによる患者の増加はコロナ感染者の増加が主な原因となると見ている。サンパウロ州での22~28日のコロナ感染者数は631人から1406人に増えている。
 他方、14日付エスタード紙は、4月8日までにコロナ感染によるSARSでサンパウロ州内の病院に入院した患者は2355人で、50・6%にあたる1193人は60歳未満と報じた。
 アルベルト・アインシュタイン病院の専門医によると、入院患者と退院した患者の60・5%は60歳未満だという。同医師は、60歳未満の入院患者は糖尿病などの危険因子を持つ人が多い事、若い人は肺の機能も保たれている例が多い事を認めつつ、若くて健康だった人の入院数の増加を懸念している。
 サンパウロ市では既に、5%の医療従事者が感染またはその疑いで現場を離れている。この割合が15%に達すれば、集中治療室や救急病院での患者への対応に支障が出る。サンパウロ州では1185人の医療従事者を募集中だが、患者急増と医療従事者減少が重なれば、「誰を生かすか」の選択が必要な状況が起こり得る。
 なお、14日は、全国で唯一、死者が出ていないトカンチンス州(感染者数26人)も非常事態を宣言した。