《ブラジル》新型コロナ感染者2万8320人、死者1736人=回復者数の公開も始まる=免疫の有無、期間は未確認

新型コロナウイルス感染症から回復し退院する人(Jader Paes/Ag. Para)

 【既報関連】ブラジル保健省は15日午後4時過ぎの定例会見で、新型コロナウイルスの感染者は2万8320人、死者は1736人と発表した。また、前日14日には回復者の公式人数の発表も始めた。15日付現地サイトが報じている。
 保健省は前日の14日に回復者数1万4026人とも発表した。この数字は同日付の感染者数2万5262人の55・5%だ。
 回復者数は、ブラジル国民の免疫獲得度合いを測る目安の一つとなる。免疫を獲得した人が多い地域では、社会的隔離政策の緩和も可能になる。また、一度陽性反応が出た後に回復した人の数が分かれば、その地域が新型コロナの患者に対応するために必要な病床数も割り出せる。

 新型コロナウイルス関連のデータで世界的に信頼されている米国ジョンズ・ホプキンス大学の調査によると、世界全体の総感染者およそ200万人の4分の1が新型コロナウイルス感染症(COVID―19)から回復した。
 14日の発表まで、ブラジルは回復者に関する非公式なデータしか出していなかったが、他の国々は回復者の数も公式発表していた。
 会見の席で保健省のジョアン・ガッバルド事務局長は、「『回復者数を出せ、出せ』と、まるで我々がわざと公開していないかのように責められてきたが、我々も諸外国と同じように回復者に関する調査をしてきた」と語った。
 14日午後4時の公式発表では、ブラジルの感染者総数は2万5262人で、その内1532人が死亡、9704人が入院もしくは回復途上、1万4026人が回復した。

 日本は「入院、もしくは回復途上」のデータを細分化して、「軽中度・無症状」、「人工呼吸/ICU」、「確認中」なども出している。
 サンパウロ州立カンピーナス大学のアレッサンドロ・ファリア教授は、中国や韓国で、一度陰性になった人に再び陽性反応が出たことを挙げ、「回復したら二度とかからないとは証明されていない。コロナ対策として、病床数だけ確保しても、医療スタッフがいなくては仕方がない。医療スタッフたちは感染の危険が高い所で働いている。『一度回復してしまえば、再感染の心配はない』と100%言い切れるなら、現場にとっては非常に重要な情報だが」と語る。同教授は、「回復したら、ある程度の免疫は得られるというのが世界中の研究者の大方の見解だが、その免疫がどれほどの期間有効かも分かっていない」とした。
 感染病学者のヴィットル・ローマ氏は、「国ごとに総人口の何%が感染したか、そしてそこから何%が回復したかが正確に分かれば、回復者数のデータは役に立ち、仮説も立てられるが、感染国のほとんどが感染データは限定的」としている。