《ブラジル》国内ガソリン価格を再度引き下げ=米国の石油暴落が影響

燃料価格も下がりすぎるとペトロブラスの業績悪化や税収減となってしまう(参考画像・Rafael Neddermeyer/Fotos Públicas)

 ブラジルのペトロブラス社は20日、21日から国内精油所のガソリン価格を平均8%、ディーゼル油価格を平均4%、それぞれ下げると発表した。同社は先週も、ガソリン価格を8%、ディーゼル油価格を6%下げていたが、それに引き続く値下げだ。
 ブラジル国内での立て続けの燃料価格引き下げは、新型コロナウイルス災禍の世界経済への影響により、国際市場での石油とその派生製品の価格が下がっている中で発生した。
 米国の原油価格の指標となるウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の先物価格は、ブラジリア時間20日の午後4時19分(日本時間21日午前4時19分)に1バレル当たりマイナス35・02ドルを記録した。新型コロナウイルスの世界的な流行で、石油の需要が大幅に下がったことが石油市場に大きく影響している。また、米国の石油貯蔵施設の貯蔵容量が限界に近付いていることも国際価格を引き下げている。
 21日の値下げにより、ペトロブラス社の精油所から燃料販売会社への卸し価格は、年初以来の累積でガソリンが約50%、ディーゼル油が約35%値下げとなる。
 しかしながら、ガソリンスタンドが消費者に販売する価格の下げ幅はそれを大きく下回る。国家原油庁(ANP)によると、製油所から販売会社への価格がガソリンで8%、ディーゼル油でも6%下落した先週も、消費者価格はガソリンが平均1・3%、ディーゼル油が平均0・6%落ちただけだった。
 今年の4月、ブラジル国内の消費者が燃料を買うのに払った金額は、昨年末の水準と比較して、ガソリンは平均8%、ディーゼル油は平均10%低くなっただけだ。
 製油所から販売会社に卸す時の価格が下がったのと同じ比率で消費者価格が下がらない理由は、販売会社は燃料の本体価格の他に、税金や販売会社の利益を乗せる上、販売会社の持っている在庫量によっても価格を調整しているからだ。(20日付G1サイトより)