32歳の医師急逝、若者の死続く

緊急医療にあたる医師(参考写真、roixRougeBE)

 新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、医療現場の医師や看護師の感染例も増えている。
 20日に亡くなった、聖市東部イタケーラの救急診療所(UPA)と大サンパウロ市圏サンベルナルド・ド・カンポ(SBC)市ルージ・ラモスのUPAで勤務していたフレデリコ・シウヴァ・リマ医師(32)もその一人だ。
 同医師は17日に咳が出始めた後、急速に病状が悪化。19日未明には呼吸困難に陥り、パラー州に住む家族に「具合が悪く、メッセージが読みとれない」と書き送った後に入院。病院側も手を尽くしたが、20日に亡くなった。
 同医師が住んでいたサンパウロ市南部のコンドミニアム住民、UPAを運営するサンパウロ市の団体とSBC市は各々、同医師を顕彰し、弔意を表明。同医師の姉妹と父親も、遺体引き取りと埋葬のためにパラー州から来る予定だ。
 コロナによる死者は高齢者や慢性疾患患者などが多いが、サンパウロ市の感染者の63・3%は50歳未満だ。リマ医師は呼吸器系疾患もなく、薬も使っていなかったと同僚は言うが、過労で免疫力が落ちていた可能性もある。
 同医師が働いていたイタケーラを含むサンパウロ市東部は20~49歳の人口比率が高い。コラム子も住んでいるが、知人の娘など、コロナで死亡する若者の話もよく聞く。
 サンパウロ市で最も同病死者が多いのは、外出自粛に従わない店や住民が多い北西部のブラジランディアだという。不特定多数の人との接触が減らないと感染拡大は止まらない。
 医療従事者などの生活必需サービス従事者が自らの命を危険に晒して奔走してくれている気持ちに応える意味でも、今はまず、感染拡大抑制への協力を求めたい。(み)