2カ月も早い桜の開花珍現象=アチバイアの中沢さん宅=コロナウイルスにも関係?

アチバイアの自宅庭。4月初頭に咲いた沖縄桜と中沢さん

 世界が新型コロナウイルスで100年に一度という大影響を受ける中、自然界にも狂いが生じているようだ。というのも、毎年6月に開花が始まる沖縄由来の寒緋桜(カンヒザクラ、以下沖縄桜)が、今年は2カ月も早い4月初頭に咲き始めたからだ。「アチバイアでは今夏の低温により、毎年6月に開花する沖縄桜が、2カ月早い4月初頭に咲き始めました。この“狂い咲き”は本格的です」と語るのはサンパウロ州アチバイア市在住の戦後移民・中沢宏一さん(76)だ。日本では3~4月に桜が開花するが、南半球にあるブラジルでは季節が反対で6~9月初頭だ。

 コロナウイルスで外出自粛が続く中、農園の手入れや庭いじりに精を出す中沢さん。いつも以上に自然と接する時間も長くなり、細かな自然現象も見逃さない。
 中沢さん宅には現在、6種類の桜が植えられている。沖縄系10本、大島系5本、台湾系20本、ヒマラヤ5本、高知雪割り10本、八重桜1本で、この順で開花するという。
 沖縄系の3本が3月に葉が黄色くなり落葉が始まり、4月初頭に桃色の花が咲き始めた。残りの沖縄桜も全体的に蕾が膨らみ、「例年より開花時期が早まっている」と中沢さんは確信する。

中沢さんの自宅庭に咲いた沖縄桜

 「鹿児島のように開花が遅くなった地域もありますが、日本では一般に地球温暖化によって桜の開花が早まりました。温暖化が叫ばれる中、ブラジルでは冷夏で開花が早まるという逆の現象が起きています」。
 サンパウロ州立総合大学構内やイビラプエラ公園の日本庭園で、桜の植樹や手入れに尽力してきた杓田美代子さんに感想を聞くと、「植えた土壌が桜に合わず、ずいぶん枯れてしまった。心からかわいそうだと思う例を目の当たりにして来た。その中でたくましく成育して花が開いたとのニュースには心踊らされます。コロナよりも、私もこの早咲きは地球温暖化と関係があると思います」との声を寄せた。

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 例年なら6~9月にサンパウロ州やパラナ州、サンタカタリーナ州の日系団体などが主催して『桜祭り』が各地で開催される。中沢さんは「花見イベントの代表には国士舘スポーツセンターの『桜祭り』(7月)、カルモ公園桜祭り(8月)などがある。季節的に外出自粛明けの晴れのイベントになれば良いなと思っていましたが、もしかして今年は『葉桜祭り』かも」と肩を落とした。とはいえ、安全が確認されて外出自粛令が解除された時、たとえ「葉桜」になっていても、市民は心置きなく公園を散策して花見を楽しむのではないか。