《ブラジル》ピエトロ君、無事に退院=コロナで母は亡くなるも

ピエトロ君の退院を祝う病院関係者達(Ascom)

 ブラジル北部パラー州ベレン市で22日夜、本当に小さな、でも、とても大きな勝利者が退院許可を受けた。
 ガスパル・ヴィアナ・クリニカス病院から退院したのは、生後23日のピエトロ君だ。ピエトロ君は3月30日、妊娠34週で生まれ、23日間を、新生児用の集中治療室で過ごした。
 ピエトロ君の母親は心臓疾患を持っており、9年前にガスパル・ヴィアナ病院で心臓の弁を交換する手術も受けていた。
 自分がハイリスクなグループに属する事を知っていた母親は細心の注意を払っていたが、発熱と呼吸困難を起こし、3月30日に同病院に運ばれた。母親の病状は重く、胎児を救うため、緊急の帝王切開が行われた。

 こうして誕生したのがピエトロ君だったが、ピエトロ君は生まれた直後に蘇生術を施す必要があり、そのまま新生児用新集中治療室に運ばれた。
 一方、母親がコロナウイルスに感染していた事は4月2日に明らかになり、別の病院で治療を受ける事になったが、治療の甲斐もなく、症状が悪化。4月11日に帰らぬ人となった。
 失意に暮れつつも、5歳の娘と共にピエトロ君の退院を待っていた父親は、22日夜、後遺症もなく、吸いつく力も強い赤ん坊を、看護婦達の手から受け取った。
 同州のエウデル・バルバーリョ知事はピエトロ君の退院を喜び、母親とピエトロ君の世話をした医療スタッフ達に、神の加護を祈ると共に、感謝と称賛の思いを込めたメッセージを贈った。また、妻また母を失ったピエトロ君の家族にも、心からの弔意を表した。(22日付G1サイトより)