コロナ禍で危機迎えた福祉団体=資金捻出イベント続々中止=こどものその、希望の家、憩の園

我が家同然に生活するこどものその園生

 ブラジル全土の活動や経済を停滞させ終焉が見えない新型コロナウイルスの猛威。常日頃から資金不足に悩んできた福祉団体にとって、このパンデミックの中をいかに生き残るかが課題になっている。ポルトガル語姉妹紙「Nippak」21日付によれば、社会福祉法人「こどものその」(小田セルジオ会長)はその支援イベント開催を2日前に中止を余儀なくされた。

 「こどものその」はサンパウロ市イタケイラ区にあり、障害者など特別な支援を要する25歳から74歳までの男女70人を収容する非営利福祉団体だ。
 園生は心理学、教育士、栄養士、言語聴覚療士などの多くの専門家から指導監督を受けて園内で日常生活や職業的素養を身につけるための教育を受けている。
 小田会長は「設立以来、個人または企業からの寄付やチャリティイベントで得た資金で維持されていました」と振り返り、「コロナ危機の進展と共に、私たちは資金の減少を感じており、この厳しい局面を乗り切るために啓発キャンペーンを行い、支援を求めています」と強調した。
 主な収益源は、同施設が主催する「手巻き祭り」や、和陶器と共にラーメンや酒を楽しむ「Jantar harmonizado」などと言ったチャリティイベントによる収益やノッタ・フィスカル・パウリスタ(NFP)からの寄付などの資金だ。
 3月14日(土)に文協ビル大講堂で開催予定だった慈善歌謡イベント「ABBA The History」は800枚以上の前売り券が販売されていたが、直前に中止が決定された。

こどものそのイベントの様子

 7月までのイベントとがすべて中止され、「慈善茶会」や「コステロン」「こどものその祭り」などのイベントも含まれる。小田会長は「我々は従業員の安全を保障するための対策を講じる必要がありました」と説明をする。
 対策には、リスクの高い従業員の隔離や衛生に対する指導、リベルダーデにある事務所に勤務する従業員に対しては在宅勤務の切り替えや、公共機関の混雑する時間を避けた通勤時間への変更など行なった。「この局面を乗り切るには、皆さんの支援に頼るほかなく、物的・金銭的な寄付を集めNFPの自動寄付者定着のための活動を行い、支援を募っています」
 日伯寺のスタッフの協力でクラウドファンディングサイト「Vakinha」で支援を募るページを開設している。クレジットなどの支払いで寄付することが可能。
 「コロナ禍の影響は長くなると予想され、資金の流れが通常通りになるのは、社会経済が回復した後になるでしょう。唯一確実なことは、それまでの間、入居者の世話を続ける必要があるということです」
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 希望の家福祉協会(下本ジルセ理事長、イタクアケセツーバ市所在)は知的障害を持つ人の支援を行う非営利団体だ。
 現在70人を受け入れており、障害者の生活の質向上を目指し50年目を迎える。入居者には高齢者が多く感染リスクも高いことから外部活動を全て停止しており、現段階で入居者や従業員からの感染者は出ていない。
 「希望の家の収入源の多くはNFPによる寄付、慈善イベントで成り立っていました。コロナウイルスのパンデミックにより相当な打撃を受け、経済的に深刻な脅威を受けています」
 「定期的にユニークな寄付キャンペーンを企画し、あらゆる場所と方法で宣伝活動を行って団体を支援してくれる企業と人々を探しています」と下本会長は語る。
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 高齢者福祉施設「憩の園」(グァルーリョス市)では使い捨てマスク、使い捨てエプロン、使い捨て手袋、アルコールジェルなどの基本的な衛生用品の不足に陥り、従業員も健康が脅かされているという。「現在最も支援を望んでいるのは不足している衛生用品ですが、現金による寄付や他の支援も歓迎しています」と支援を募っている。
 団体事業や支援する方法についての詳細は下記団体サイトにも掲載されている。
【社会福祉法人こどものその】http://www.kodomonosono.org.br
【希望の家福祉協会】http://www.kibonoie.org.br
【高齢者福祉施設「憩の園」】http://ikoinosono.org.br
【サンパウロ日伯援護協会やすらぎホーム】http://www.enkyo.org.br