《ブラジル》ボウソナロ大統領=「奇跡は起こせない」=コロナ死者が中国抜いた日に=自身は罷免回避に大金支出=友人の連警トップは就任差止め

29日のボウソナロ大統領(Marcos Correa/PR)

 28日、ブラジルでの新型コロナウイルスの死者が最初の発祥国の中国を超えたことに関するコメントを求められたボウソナロ大統領が、「私の名前はメシアだが奇跡は起こせない」と発言し、強い反発を招いた。大統領はその一方で罷免を避ける活動を積極的に展開しているが、29日には、そのうちの一つと目される、連警新長官のアレッシャンドレ・ラマジェム氏の就任を最高裁から差しとめられた。28、29日付現地紙、サイトが報じている。

 ボウソナロ大統領は28日夜、新型コロナに感染して死亡した人の数が最初の発祥国の中国を超え、5千人台に達したことについて記者から尋ねられた際、「それがなんだというんだ。現状は嘆かわしいが、私に何をしろというんだ? 私の名前はメシア(救世主)だが、奇跡は起こせない」との発言を行った。
 この発言は国民には「無責任」と映り、この夜のSNSで最も話題にされた。
 大統領は29日午前中も、前夜の発言を報じたメディアを「嘘つき」と決めつけ、「お前たちに金は払わない」などとまくし立てた。また、コロナ禍で死者が増えたことについて訊きたがる記者たちに、「コロナ抑制のための外出自粛令に関する責任は州や市にある。最高裁もそう決めた」などと屁理屈をこね、「死者の増加は自分の責任ではない」と語った。
 ダッタフォーリャの最新の世論調査では大統領のコロナ対策に対する国民の評価は過去最低の27%に落ちた。28日には米国のトランプ大統領もブラジルのコロナ対策を批判し、ブラジルへの航空便の差し止めを示唆する発言を行っている。
 その一方で、ボウソナロ大統領は、高まりつつある罷免への動きを回避するための活動を熱心に行っているという。それは、連邦議会内の中道勢力「セントロン」に連邦政府内の要職を与えることで、大統領への協力を約束させるものだ。一部の報道によると、大統領は一連の交渉のために106億レアルを投じているという。大統領はかつて、こうした議会工作を「汚職の温床」「古い政治」と言って、強く批判していた。
 また29日、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事は、ボウソナロ氏が28日付官報に連警長官として掲載し、正式指名したアレッシャンドレ・ラマジェム氏の就任を差し止めた。
 ラマジェム氏は連警の捜査対象になっている大統領次男カルロス氏の友人ということで、かねてから就任に反対する声が多かったが、大統領が周囲の反対を押し切って指名。29日午後、新法相らと共に就任式を行うはずだったが、セルジオ・モロ前法相が24日の辞任会見の際に行った、「大統領が連警に干渉した」との発言を問題視したモラエス判事が、民主労働党からの就任差し止め要求を受け入れた。