《ブラジル》コロナ感染者8万5380人、死者5901人=サンパウロ、リオでは隔離厳格化も=ロックダウン示唆する専門家

サンパウロ市3カ所目の臨時病院を視察する、サンパウロ州ドリア知事(左端)とサンパウロ市コーヴァス市長(聖州政府提供)

 【既報関連】ブラジルで新型コロナウイルスの被害は拡大を続け、4月30日の保健省発表では、感染者8万5380人、死者5901人に達した。前日比の感染者数は7218人(9・2%)、死者は435人(8・0%)の増加だ。 州別の感染者数、死者数で1位、2位のサンパウロ州、リオ州では、社会隔離政策の延長や厳格化の可能性も出ていると、4月30日付現地各サイトが報じた。
 感染者数、死者数1位のサンパウロ州は5月10日まで州全域で外出自粛令、基幹業務以外の営業停止令が出ている。一番感染規模が大きいサンパウロ市では4月30日に、11日以降も外出自粛令が延長され、規定も厳格化されるのではと報じられた。
 サンパウロ市保健局長のエジソン・アパレシド氏は、「サンパウロ市は5月10日で社会隔離政策を緩められる状態にはない。現状の隔離率(平日は48%)をもっと高くするため、隔離厳格化も検討中だ」と語った。市は幹線道路を封鎖することも検討している。
 4月24日現在のサンパウロ市の地区別の死者数(疑われる例も含む)最多は、ブラジランジアの81人で、サポペンバの77人、サンマテウスの58人が続く。
 理想的な隔離率70%には遠く及ばないまま、同市では感染者が増え続けている。2月26日から4月23日までの疑似症患者の報告数は4万5518人で、1日平均812人ずつ増えていたが、4月24~26の3日間の報告数は1万人以上で、1日平均3400人以上に跳ね上がった。
 市民たちの隔離への忍耐が限界に近付いていることは州政府の懸念材料だ。特に感染拡大の激しいサンパウロ市では医療システムへの負荷が過大になり、新しい患者の受け入れが困難になりつつある。
 サンパウロ州に次いで感染者数と死者数が多いリオ州でも、4月30日に、リオ州政府とリオ市が隔離政策延長を発表した。リオ市のマルセロ・クリヴェラ市長は5月15日まで、リオ州のウィルソン・ヴィッツェル知事は5月11日までの延長を表明している。
 クリヴェラ市長は4月29日に、今後も死者の増加ペースが収まらなければ、最も厳格な“ロックダウン(都市封鎖)”を含む、より厳格な社会隔離政策をとる意向を表明している。
 保健省予防接種伝染病局元局長のジュリオ・クローダ氏は4月28日、州別感染者数3位のセアラー州の州都フォルタレーザ市と5位のアマゾナス州の州都マナウス市はロックダウンを行うべき状態だと発言した。
 ロックダウンは人々の往来を完全に禁止する、最も厳しい社会隔離政策で、中国やイタリア、スペインで採られた。ブラジルではまだ採用されていないが、4月27日発表の疫学速報第14号はその可能性も示唆している。
 クローダ氏は、国土が広いブラジルでは「コロナ対策も、地域毎に、人口や病床数、医療インフラの充実度を考慮して変化させるべき」としている。