《サンパウロ州》コロナ禍で教育現場に格差 遠隔授業受けられぬ生徒も

サンパウロ市のブルーノ・コーヴァス市長(中央)とサンパウロ州のジョアン・ドリア知事(右)(サンパウロ州のコロナ関連の定例記者会見で、Governo do Estado de São Paulo)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの学校で休校措置が採られたが、私立校は割りと早い時期から遠隔授業などを行っていたのに対し、公立校の生徒は遠隔授業にさえ参加できないなどの問題が出ていると5日付現地紙が報じた。
 サンパウロ州の公立校生は、冬休みの前倒しなどの後、やっと、サンパウロ州メディアセンターが提供するプログラムを利用できるようになった。だが、父兄の中にはプログラムが始まった事さえ知らない人や、プログラムの事は知っているがアプリが使えないという人、仕方がなく自分なりのプログラムを親が用意して子供に教えている人などがいる。
 州のプログラムにアクセス出来た人は、テレビを調整し、子供達に授業を見せているが、子供達が内容についていけず、見直したいと思っても、授業は再生出来ない。
 各学年の授業は1時間半のみで、半日ないし1日を学校で過ごすような訳には行かない。教師陣の訓練は4月に行われたが、遠隔授業に慣れておらず、内容がわかり難い、その場で質問出来ないなどの苦情も出ている。間を持て余して、アニメを流したりするコマもあるという。
 同プログラム用アプリにはチャットも用意されていて、質問を送れるようになっている。だが、自分の担任とは連絡が取れないといった問題や、罵詈雑言や無関係な事を書き込む生徒がいて、教師が対応しきれないといった問題も出ている。
 また、教材を取りに来るようにとの連絡を受けたが、受け取れるのは1日だけ、インターネットを使ったアプリは6年生以上しか使えないなどといった問題も生じた。州政府の負担で使える携帯電話用アプリでプログラムを使えるようになった親や生徒もいる。だが、暗証が変わり、システムに入れなかったなどの苦言を呈している教師もいた。
 また、Wi―Fiがない、携帯電話やタブレット、チューニング出来るテレビを持っていない、子供達のRG(身分証明書)がなく、プログラムに登録出来ないといった問題もある。サンパウロ市でも、市立校の生徒の教材を郵便で届けるなどの対策を講じているが、全戸に届くには至っていない。
 ジェツリオ・ヴァルガス財団公共政策担当理事のクラウジア・コスチン氏は、各州や市の教育局が懸命の努力をしている事を認めつつも、様々な意味の格差が教育の機会均等や習熟度向上を妨げていると明言した。
 サンパウロ市教育局長のブルーノ・カエタノ氏は、「コロナ禍で失われた時間を少しでも取り戻すには、学校での授業再開が最善」「教室に勝る場はない」と強調。サンパウロ州教育局も、1日も早い授業再開をと願っているが、現時点では州、市共、一斉に授業を再開する目処はたっておらず、曜日を決めて輪番制で授業を行うなどの代替策を模索している。