日伯友好病院=「今も集中治療室の占有率高い」=2月からコロナ患者対策開始=専用階設置で院内感染対策万全

日伯友好病院の全景(提供写真)

日伯友好病院の全景(提供写真)

 サンパウロ日伯援護協会(与儀昭雄会長)が経営する日伯友好病院(サンパウロ市ヴィラ・マリア区所在)は、3月31日には集中治療室が満床になったと発表されていた。ではその後はどのような状況になっているのか。前園マルセリーノ日伯援護協会事務次長を通して、11日に同病院広報担当者に取材を行った。

 広報担当者は、「集中治療室の占有率が100%を超えていましたが、4月1日には解消されました。しかし現在も依然として占有率は高いです」と緊迫状態が続く様子を説明した。
 同病院は、国内で発症者が出る以前の2月初旬から症例のある国の状況に注視し、先を見越して対策実施のために動き出していたという。
 「2月、当院ではコロナ患者用に緊急治療室のベッドの配置を変え、防護服の適切な使用法の確認、コロナ感染の疑いのある患者に対する処置の流れを作成のため毎日会議が開かれました」と具体的な対策を説明。
 コロナ感染が疑われる患者に対して、緊急外来の時点から他の患者と分離するような対処マニュアルを作成しており、5階フロアをコロナ患者専用にして院内感染を防ぐ対策を行ってきた。
 コロナ感染症は突然重症化するケースもあるため、病棟では感染症医をはじめ、呼吸器や腎臓の専門医などが、検査やバイタルサイン(生命兆候の測定)などから急激な悪化の兆候が無いかを観察し、集中治療室での治療が必要な患者をすぐに移送できるよう備えている。
 また「有効な治療薬がないことから、現場の専門家たちも国内外の医療情報や日々の経験を集約するために、毎日の情報交換が欠かせません」という切迫した状態だ。
 ちなみに、グアルーリョス国際空港から近いことから、コロナ感染が見られる乗客が空港で見つかると、同院へ移送されるとの話もある。その件を確認すると、「必ずしも当院への移送が確定されている訳ではありません。ですが、パンデミック以前から国際空港の従業員に対し、空港利用者への安全対策のガイドラインや指導を行ってきました」と述べ、〃南米の玄関口〃空港との関係の深さを伺わせた。

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 日伯友好病院では、院内で使用されるシーツや病院着を、日系女性が中心になったボランティアによって縫製している。昨年だけで4千点も作ってくれた。だが、高齢の日系女性が多いため、ボランティア自身の危険を考慮した結果、現在は活動が中止になっているとのこと。はやくコロナが終息して、すべての活動が元通りになってほしいところだ。