在外邦人の書類手続き支援(上)=コロナ離婚の相談も目立つ=カリーニョ行政書士事務所

 

藤田みき代表

藤田みき代表

 新型コロナウイルスの蔓延防止のために出された外出自粛令。それに伴い日本でよく耳にするようになったのが「コロナ離婚」だ。バラバラだった家族が再構築される人もいる一方で、外出自粛によって夫婦が四六時中顔を突き合わせることで、ストレスがたまり、モラハラ(相手を侮辱したり軽蔑したりして、人間性や尊厳を傷つけるような態度や行動)や家庭内暴力、子供への虐待が発生し、誰にも相談できないまま今後の夫婦関係や家族関係に悩む人がいる。東京都にあるカリーニョ行政書士事務所の藤田みき代表に聞いてみた。

 「当事務所においても、家族が家に籠ることで、辛い思いをしているお客様のご相談が増えました。海外で暮らす日本人の方にも、暴力等すぐにでも解決しなければならない問題が生じていると思われました」と語るのは藤田みき代表だ。
 日本人同士の結婚、国際結婚を問わず、新型コロナウイルスの問題のために帰国できなくなった海外在留邦人にも同様の悩みを抱えている人がいることを危惧し、いち早く「コロナ離婚」相談を積極的にサポートしているのがカリーニョ行政書士事務所だ。
 藤田さんは夫の赴任に伴い2014年からブラジルで3年間、それ以前にもアメリカ、オーストラリアに在住し、在外邦人が直面する様々な家族問題を目の当たりにしてきた。
 ブラジル在住期間には生活面で多くのブラジル人に助けられ、その恩返しがしたいと、日本に帰国後の2017年に同事務所を開設。その他にも日本在住のブラジル人に日本語を教えたりSNS(会員制交流サイト)を通じて、ブラジル人との交流を続けている。
 「カリーニョはとても好きな言葉でした」と「慈しみ」「愛おしさ」を意味するポルトガル語を事務所名に採用した想いを説明する。  
 同行政書士事務所では、日本人の相続や離婚、会社設立に関する手続きや相談、在日ブラジル人の日本滞在などに関する手続き業務を行っている。
 藤田さんは「コロナ離婚を決断する前には一歩踏みとどまり、冷静に離婚後の生活を見つめ直すことは重要です。離婚や相続の手続きは煩雑で多大なエネルギーを費やし、特にブラジルも含め在外邦人の場合は日本国内とは違う手続き上の壁にぶち当たることもあります」と説明する。
 後編では、行政書士及び法務博士である藤田さんが「日本人とブラジル人の夫婦が離婚する場合の手続き」「海外からの相続手続きの際によくある失敗例」「どのような人が注意が必要か」を紹介する。(つづく)
【カリーニョ行政書士事務所】住所=東京都新宿区西新宿7―2―6 西新宿K1ビル3階、電話81―3―6890―5099、事務所サイト(www.carinho-office.com/souzoku/kaigai.html)

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 「モラハラ」という言葉を始めて聞いた読者も多いのでは? かく言う記者も何だか分からず、思わずネット検索した。モラハラとは「モラルハラスメント」の略で、ポ語では「Assédio moral」のこと。某弁護士事務所サイトには《身体的な暴力ではなく、言動や態度といったモラルによる精神的な苦痛を相手に与える、家庭内暴力の一種》と説明されていた。要は、夫や妻が、相手の人格を否定するような感情的でキツイ言葉をぶつける行為のことのよう。《モラハラ気質がある人は、基本的に相手の考えを理解しようとはしません。自分の考えや価値観が全てであり、それに沿わないと平気で罵倒したり侮辱したりします》とも。皆さんもどこかで経験があるかも?!