東西南北

 ボルソナロ大統領は5月31日、トランプ米大統領が発した「アンチ・ファシストはテロリスト」というツイートを、サンパウロ市での反ファシスト・デモの直前に拡散した。トランプ氏の発言は、同国の白人警官が黒人男性の首を膝で圧迫し続けて死亡させた事件を受け、全国規模でデモを連日扇動している左派反ファシズム運動組織「Antifa(アンティファ)をテロ組織に指定するというもの。ブラジルでは、サンパウロ市などで反ファシスト・デモがはじまろうとしていたタイミングだった。トランプ氏の発言でさえ、「火に油を注いでいるだけ」と言われているが、ボルソナロ氏や支持者の場合も、自分たちが「ファシスト」と呼ばれるような挑発的行為を行っていないかを確認する必要がある気がするが。
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「疑惑の判事」とも呼ばれ、90年代後半に話題となったニコラウ・ドス・サントス氏(91)が5月31日、入院先のサンパウロ市サンルイス・モルンビ病院で死去した。コロナウイルス感染が死因と疑われている。同氏は、第2地域裁判事だった時代、サンパウロ市の労働者フォーラム建設に伴う巨額の収賄や資金洗浄に関わった容疑が持たれ、2006年に26年の実刑判決を受けた。自宅軟禁後、サンパウロ州トレメンベーの刑務所で受刑。14年に体調を崩すまで服役していた。
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 サンパウロ州では1日から、段階的な外出規制緩和がはじまった。州の緩和政策で「5段階中の第2段階」に指定されているサンパウロ市は、法的にはショッピングセンターの制限付再開が許されているが、実際に再開が許可されるかは市の判断次第だ。「開いては欲しいが、感染もこわい」人がまだ多い。市民としても、もどかしいところか。