東西南北

 1日午前、ボルソナロ大統領がSNSで拡散したビデオが物議を醸した。ビデオには「羊として100年生きるよりも、ライオンとして1日を生きたほうが良い」という言葉が収められていたのだが、その言葉の主が「ファシズムの生みの親」とされるイタリアの独裁者ムッソリーニだったからだ。大統領はこの4日前にも、ネオナチの象徴的儀式とされる牛乳の一気飲みをして問題視されたばかり。大統領は反ファシストのデモを「暴力的」と批判しているが、それ以前に、最近の自身の言動がこれまでに増してファシズム的な捉え方をされはじめていることを、まずは客観的に振り返った方が良さそうだ。
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 大統領長男フラヴィオ上議と三男エドゥアルド下議が5月31日から1日にかけて、イギリスのチャーチル首相がいったとして「ファシストは未来にはアンチ・ファシストと呼ばれることだろう」という言葉をSNSで拡散したが、これが実在しないものであることを国際チャーチル財団が明らかにした。父はムッソリーニの言葉を拡散、息子エドゥアルド氏は軍事クーデターを肯定するメッセージ発信という、親子で仲良く不穏な言動を繰り返している。だが、父の真似して歴史的人物を使ったのは良いが、よりによってフェイクニュースを拡散とは・・・。
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 ブラジル世論調査・統計機関(イボッピ)の最新調査によると、90%の国民が、「フェイクニュースに対する法規制が必要」との見解を示しているという。大統領陣営はフェイクニュースを「表現の自由」と呼んで保護しようとしているが、その意見に賛同している国民は8%。これまでのように野放しでは、いられなくなりそうだ。