《ブラジル》コロナ禍=死者数4万人突破、感染者も80万?=州都は改善も内陸部は悪化=聖州の緩和基準変更は一例

外出規制の見直しなどを発表するサンパウロ州のドリア知事(GOVESP)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染拡大は収まる気配を見せず、10日の保健省発表による感染者は前日比3万2913人増の77万2416人、死者は1274人増の3万9680人だったと10、11日付現地紙、サイトが報じた。
 ブラジルは経済活動の再開を急ぐ連邦政府(ボルソナロ大統領)と、州や市の足並みが揃わず、感染拡大が長引いている。
 ボルソナロ氏が反隔離の模範としたスウェーデンはコロナ対策での失敗を認め、米国のトランプ大統領は「ボルソナロ大統領と同じ方針を採っていたら、100~250万人死んでいた。私は多くの国民の命を救った」という表現で、ブラジル政府の対応策を批判した。だが、ボルソナロ氏本人は意に介さず、米大統領を「兄弟」と称賛。港湾ターミナル民営化に向けた諸準備もペースを落としていない。
 だが、隔離緩和の動きも手伝い、人口も人の動きも大きい州都などを中心としていたコロナウイルスの感染拡大が、内陸部に広がりつつある事は注目に値する。
 コロナの感染拡大が進み、8日現在の死者総計が全国の80%にあたる2万9122人に達した124市の動向を分析したFarol Covidによると、5月末~6月初旬の感染拡大の速度が速い方から上位10市中、7市はパラー州内陸部にある。感染速度が未だに大きい市での最初の感染者確認は3月末~4月だという。
 また、124市中、感染速度が減速中の上位10市中、5市は州都だ。これら10市中、各感染者からの感染者数が1人未満なのはポルト・アレグレだけだが、同市も死者のピークはまだで、感染終息には時間を要す。感染減速中の州都はポルト・アレグレ、フォルタレーザ、サンパウロ、マナウス、サンルイスで、死者のピークを過ぎたのはマナウスだけだ。

 感染拡大の速度が大きい市が、感染者が出るのが遅かった内陸部に多い事は、サンパウロ州での外出規制見直しでも確認された。
 サンパウロ州では9、10日と連日で、1日の死者数が新記録を更新(334人と340人)し、死者数が9862人となった。感染者数は5545人と6178人増え、15万6316人となった。感染者や死者増加は内陸部が目立つ。
 ジョアン・ドリア知事は10日、外出自粛令を28日まで延長。それと同時に、規制緩和第3段階のバレットスとプレジデンテ・プルデンテの2地域と第2段階のリベイロン・プレット地域を最も厳しい第1段階に、第3段階のアララクアラ/サンカルロスとバウルーの2地域を第2段階に引き下げた。
 他方、第1段階のサンパウロ大都市圏とレジストロ、バイシャーダ・サンチスタは第2段階に引き上げた。
 サンパウロ市では10日から一般商店と不動産会社、11日からはショッピングセンターが活動を再開したが、サンパウロ市、サンパウロ州とも、商店再開などで感染者数や入院患者数、死者数が増えたら、規制を強める事を明言している。