パラー州トメアスー編=自粛生活の心がけを聞く=植栽に体操、詩吟など

2018年、眞子さまに自分の農場で生産物の説明をする峰下さん

2018年、眞子さまに自分の農場で生産物の説明をする峰下さん

 「もう引退生活なので、このコロナで大きく生活が変わったということはないですが、災禍前は週に一回誰かしらが家に来ていました。また、毎週日曜日には趣味のゴルフをしていましたが、しばらくできていないですね。これからどうなるのか、以前の生活に戻るかな…という不安はありますね」―峰下興三郎さん(満州生まれ佐賀県・80歳)は、そう電話口で語った。外出自粛措置から早3カ月弱――。自粛生活の過ごし方や心がけについて、今回は南緯2度と赤道にほど近く、アマゾン地方最古の日本人移住地から始まった町、パラー州トメアスー郡在住者に電話取材をしてみた。

 ブラジル日本移民110周年を記念して2018年にご来伯された眞子内親王殿下を、自分の森林農法農場にご案内するという誇らしい経験をした峰下さん。現在は自粛生活を余儀なくされている。
 トメアスーは6月1日より外出禁止令が解除され、店も8~16時までの時間制限付きで開店している。息子が感染を懸念し、現在も自粛生活を行っているという。
 「こんな時だからこそ怠け防止のため、毎日自分が決めたことをしています。決まった時間に起きて、犬と魚に餌をやり、花に水をあげて、家裏の農場で草むしりをして、生活リズムを崩さないように心がけています」と峰下さんは現在の日課を語る。
 栽植に関して「草むしりをして、自分が植えた花やカカオなどの様子を観察するんです。自分で植えた植物が育つ様子は、子供の成長をみているようで楽しいですよ。小さい花や鉢植えでもいいので育ててみてください。育てるうちに、管理方法や肥料の量、水をあげる頃合いなど色々と人に聞いて工夫することでコミュニケーションも生まれて一石二鳥ですよ」と勧めた。

仲間と3B体操をする三宅昭子さん(右、本人のフェイスブックより)

仲間と3B体操をする三宅昭子さん(右、本人のフェイスブックより)

 同じくトメアスー地区に住む三宅昭子さん(秋田県・78歳)も自粛を続けている。
 「外出自粛は解禁されましたが、心配なので家からはめったにでません。毎朝起きて、庭で深呼吸・体操・犬猫の世話・植栽の草刈りと水撒き・洗濯と掃除で1日が終わります。植栽の世話は朝夕の2時間づつやっているので、意外と忙しく過ごしてるんですよ」とのこと。
 三宅さんは緑の会(トメアスー地区の老人会)の副会長も勤めており、同会もこのコロナ災禍により活動を休止している。「通常なら緑の会も毎月催し物やイベントがあるのですが、現在の災禍で3月から中止しています。この状況ですと7月からできるかはわかりませんね…」と語る。
 三宅さんは3B体操を薦める。「私は元々膝が悪いのですが、30年前から毎日、3B体操をしているんです。ボール、ベル、ベルターの3つの道具を使って全身を動かす運動です。このおかげもあって今でも自転車に乗ってますし、歩こうと思えば2キロぐらい歩けます。家で簡単にできますし、おすすめですよ」

2017年に来社時の椿さん

2017年に来社時の椿さん

 第2トメアスー地区に住む椿治子さん(75歳・大分県)は、現状でも大変恵まれた生活をしていると語る。
 「元々トメアスーで育ち、45年程サンパウロで美容院を経営していました。3年程前にトメアスーに戻り、旦那と暮らしていますが、本当に恵まれた生活をしていると実感しています。もし美容院を続けていれば、災禍の影響で急きょ閉店せざるを得なかったでしょう。旦那や息子、孫、ひ孫に囲まれて日々過ごす生活は、このコロナ禍中でも苦になりません」
 椿さんは長年、吟剣詩舞の稽古も行っており、自粛中は家で稽古を行っているという。
 「以前は文協のサロンを借りて練習を行っていましたが、今は状況が状況なので家で練習しています。だいたい週に2回程、一回に2時間は練習します。旦那も全面的に応援してくれるので、この恵まれた状況に本当に感謝しています」とコロナ生活を支えている人々に感謝の気持ちを語った。

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     ◎
 三宅さんの日課「3B体操」は、日本全国で31万人以上の受講者をほこるもの。遊び要素を取り入れ、用具を使い音楽に合わせて行うという特徴がある。また、体に無理なく気軽に行うため、老若男女問わず安心してできるという。同体操は有酸素運動、バランス機能改善、筋力づくり、ストレッチング等、健康によい効果が多く詰まっているとか。この自粛生活中の運動不足解消に始めてみてはいかが? 3B体操の詳細はサイト(https://www.nihon3btaisoukyoukai.jp/)まで。