サンパウロ州議会に「憎悪部隊」援軍=政敵をフェイクニュースや罵詈雑言でSNS攻撃=リーダーは州議会議員

ガルシア・サンパウロ州議会議員(州議会公式サイトより)

 フェイクニュース(虚報)やヘイト・スピーチを拡散する「憎悪部隊(gabinete do ódio)」が大統領府内にあると言われているが、その強力な援軍としてサンパウロ州議のドウグラス・ガルシア氏(社会自由党・PSL)が同様の組織を率いていたことが、情報公開の結果から明らかになりつつある。20日付エスタード紙が報じている。
 「憎悪部隊」の存在は、両院のフェイクニュース議会調査会(CPMI)で調査中で、ボルソナロ大統領次男のカルロス・リオ市議と三男エドゥアルド下議がリーダー格として目されている。
 その「憎悪部隊」が連邦議会のみならず、サンパウロ州議会内にも存在していたことが、今回明らかになりつつある。
 州議会でそれを率いていたとされるのはドウグラス・ガルシア州議だ。同氏は州議会内の「保守運動」グループの中心人物。同氏は、かねてからボルソナロ陣営の虚報捏造の協力者として噂されており、5月27日の連警のフェイクニュース捜査でも捜査対象にされ、情報公開処分も受けた。
 その情報公開の結果、ガルシア氏の側近が、政敵や最高裁に対してネット上で攻撃的言動をしていた発言主であったことが、検出されたIP(ネット上のアドレス)から判明した。
 例えば19年5月から12月にかけて、同氏が関わる「保守運動」インスタグラムでは、ルーラ元大統領の釈放問題にも絡む「2審有罪で刑執行か否か」の問題で「最高裁は国の恥」という投稿が繰り返し行われていた。

 昨年11月にエドゥアルド・ボルソナロ氏が造反によりPSLの下院リーダーに就任しようとした際、それを激しく批判したリーダー、デレガド・ヴァウジール氏に罵詈雑言を浴びせる運動をSNS上で展開した。同じくエドゥアルド氏と激しく対立し、下院の連邦政府リーダーを追われたジョイセ・ハッセルマン下議に対し、SNS上で「ペッパ・ピッグ」という太った女性を侮蔑する表現を使い、嫌がらせを続けていたこともわかった。
 また、大統領と対立してPSDBに移籍し、フェイクニュースCPMIで憎悪部隊の正体を暴露したアレシャンドレ・フロッタ下議への攻撃も行なっている。 
 これらの発言主のIPはガルシア氏の側近3人のものであるだけでなく、発言主は側近の長で「保守運動リーダー」のエジソン・サロモン氏であることも判明した。同氏は「保守運動」リーダーで、フェイクニュース捜査でも捜査対象になっていた。
 事態を重く見たPSLは、すでにガルシア氏をジル・ジニス・サンパウロ州議と共に15日に除名処分としている。サンパウロ州議会でもすでに停職処分になっている。
 またアレシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事も連邦検察庁に対し、ガルシア氏の行為に関する今後の捜査への意見を求めている。