ブラジル日本語センター=初オンライン日本語教師研修会=全伯どころか全世界から参加=大好評のうちに全4回を閉講

全世界からの参加者の皆さん

全世界からの参加者の皆さん

 ブラジル日本語センター(日下野良武理事長)主催の初のオンラインによる「全伯日本語教師研修会」(計4回)が、8月5日に無事終了した。この研修会は通常ならば同センターに集まり、3日間通して行われる。今回はコロナ禍により、オンラインに挑戦。「全伯」の名前が示す通り、オール・ブラジルから自由に参加でき、教師になりたての人もベテランも一堂に会する。今年で63回目を迎え、長い歴史を誇る日本語教師の勉強会だ。

反転授業の説明スライド

反転授業の説明スライド

 1回目は7月2日で、ZOOMを使った必要最低限の技術編。さらに「子ども向けにオンライン授業をどのように行えばいいのか?」という疑問に答える形で3人の教師が実践報告をした。
 2回目は7月22日の技術編で、ZOOMのグループ分け機能等を学び、実践発表は成人の取り組みとして、オンラインお話大会、オンライン授業へとどのようにして移行したか、アニメや動画を使った例などを3人が報告した。
 3回目は7月30日の技術編で、宿題やテスト等に有用なサイト(Youtube、WhatsAppなど)や反転授業などを学んだ。実践ではさまざまな取り組みと題し、日本と繋げた例やオンラインでの「話そう会」、テストの取り組み等を発表した。
 1回目から3回目までは、最後の1時間を各自の課題などを解決する場として、参加者全員がグループに分かれて話し合った。

大山先生による「私の戦争体験」発表

大山先生による「私の戦争体験」発表

 最終回は8月5日に行われ、クリチバ大山学園の大山多恵子先生から「今の若者に伝えたいこと~私の戦争体験から」というテーマで戦時中の実体験を聞いた。8月の終戦記念日も間近で、さらに「コロナ禍にある今、自由に買い物にも出られず、必要なものが手元になくて困りますが、そういう時だからこそ、戦時中のように有る物を利用し、臨機応変に切り抜けましょう」と締め括られ、時宜を得た講演となった。
 続いて日本から新宿日本語学校の江副隆秀先生が「コロナ禍で工夫していること」として、オンライン授業の詳細や貴重な情報を余すことなく披露。ブラジルではお馴染みの江副式も教師の世代交代で初めて知る人もいて、大きな反響があった。
 最後に日下野理事長から閉講の挨拶があり、初のオンラインによる全伯日本語教師研修会は、無事、終了した。

ゴイアス州からの発表の様子

ゴイアス州からの発表の様子

 当初、コロナ禍で中止も検討された研修会だったが、スタッフがオンライン開催を検討。初の試みで、暗中模索の中での実施だったが、逆にオンラインの強みでブラジルのみならず、日本、中国、アメリカ、ボリビア、コロンビアなどの海外からも参加者があり、ブラジルの枠を超えた「世界」的な研修会となった。
 参加者からも「オンラインでも色々な先生方の実践の発表を聞いたり、ディスカッションで他の先生達とアイディア交換できたことが良かった」「新宿日本語学校の取り組みを聞いて、困難な時代でも新しいことにチャレンジする姿勢を学びました」「戦時中のお話を聞いて、今の時代も辛抱強く生きて乗り越えようと思いました」などの声が寄せられた。
 来年に向けて、新しい展開を予想させる教師研修会となった。グループ討議以外のすべての講義は、ブラジル日本語センターのホームページ(www.cblj.org.br)から当日の動画を視聴できる。