《ブラジル》パンタナル火災が史上最悪レベル=アマゾン並みの大自然に火の手

パンタナルでの森林火災(Ascom/CBMMS)

 パンタナルでは8月としては史上2番目に多い5935件の森林火災が発生したと、ブラジル国立宇宙研究所(Inpe)が1日に発表した。同日付現地サイトが報じた。
 Inpeによる森林火災観測は1998年に始まった。パンタナルでの8月の森林火災最多は、2005年の5993件だ。今年8月の件数は昨年同月の3・5倍に及んでいる。
 パンタナルでの森林火災は7~9月が多く、7月の森林火災は同月としては観測史上最多の1684件だった。7月の森林火災件数は、昨年同月の3・4倍だった。
 非政府団体SOSパンタナルのフェリッペ・アウグスト・ジアス氏によると、森林火災の大半は人為的なものだ。国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)所属で、パンタナルの火災消火にあたる消防隊Prefogoの隊員は、同地域の森林火災の99%は人為的な原因と見ている。
 この場合の「人為的」という言葉には、枯葉を燃やすために焚火をしたら風が吹いて燃え広がった場合なども含まれ、必ずしも犯罪行為を意味しない。
 パンタナルは今、過去47年間で最悪という干ばつに直面しており、少しでも注意を怠れば、小さな火種が大きな森林火災を引き起こしうる。今年は湿度が高いはずの1月ですら雨が少なかった上、例年なら必ず起こるパラグアイ川などの氾濫も起きていない。

 法定アマゾンの場合、8月の森林火災は2万9307件で、昨年同月の3万900件よりも5・2%減った。それでも、平年の8月の平均の2万6082件を12・4%上回り、2010年以降では2番目に多い。
 8月の法定アマゾンでの州別森林火災件数は、パラーの1万865件、マット・グロッソの1万430件、アマゾナスの8030件が群を抜く。これら3州は年間累計でも上位を占めている。
 森林火災件数が多い市は、パラー州のアウタミラやサンフェリックス・ド・シングー、マット・グロッソ州のポコネー、南マット・グロッソ州のコルンバーなどだ。
 環境省は7月16日、パンタナルや法定アマゾンでの火の使用を120日間禁じる省令を出したが、森林火災は減少する気配を見せていない。同省令では全国の森林での火の使用を禁じたが、法定アマゾンとパンタナル以外の植生では、州環境局の許可さえ受ければ、農業生産に関わる火の使用が認められている。
 ボルソナロ大統領も8月2日のメルコスル首脳会議(ビデオカンファレンス)で、「森林と先住民の生活の質を守るための対策を講じ、ブラジルへの見方を変えてみせる」と語ったが、この約束は果たされていない。
 なお、全国での森林火災は5万694件で昨年同月より2・4%少ないが、昨年8月の数字は2018年の2万7774件を大幅に上回っているため、ここ10年間で見た場合の8月の森林火災は、昨年、2012年に次ぎ、3番目に多い。