重症コロナ患者にコルチゾン=ブラジルの研究でも有効性確認

ブラジルでの研究に使われたコルチゾン

 ブラジル国内の医療機関が行った、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)重症患者の治療に関する研究で、コルチゾン(副腎皮質ステロイド)の有効性が確認されたとする記事が、同日付『米国医師会雑誌(略称JAMA)』に掲載された。
 2、3日付ブラジル国内紙、サイトによると、この研究はイスラエリタ・アウベルト・アインシュタイン病院や心臓病院(HCor)、シリオ・リバネス病院、モイニョス・デ・ヴェント病院、アレマン・オズワルド・クルス病院、サンパウロ市のベネフィセンシア・ポルトゲーザ病院、ブラジル臨床研究所、ブラジル集中治療研究ネットワークの八つの医療機関からなるCovid-19ブラジル連合によるもの。
 「第3連合」と題した研究では、Covidで重篤な呼吸器系疾患を起こし、41カ所の集中治療室(UTI)に入院、人工呼吸器を使っていた患者299人の治療と経過を観察した。
 それによると、コルチゾンを併用した151人は肺の炎症がより速やかに収まり、平均で6・6日、人工呼吸器を使わずに済んだ。投与しなかった148人は4日だから、2・6日長い(人工呼吸器使用日数が短くて済んだ)。
 コルチゾンを投与されたグループでは32%が死亡したが、投与しなかったグループでは40%が死亡しており、致死率が低下した。
 コルチゾン併用で回復が早まる事は、英国オックスフォード大学の研究でも確認済みだ。6月16日には、人工呼吸器が必要な患者の致死率が、同薬併用で3分の1低下したと報じられていた。
 コルチゾンは世界保健機関(WHO)が認める薬の一つで、入手が比較的容易で廉価。投与する量次第で、抗炎症剤または免疫抑制剤として機能する。

コロナ感染症に有効な治療法を探求する研究者達(Acacio Pinheiro/Agencia Brasil)

 WHOは2日、第3連合を含む、12カ国で行われたコルチゾンを使った研究に関する見解を発表した。ウイルス侵入に対抗するための炎症反応で重症化した患者の致死率低下はいずれの研究でも確認されたとして、重症患者へのコルチゾン使用を推奨。
 他方、コルチゾンは血糖値上昇や骨粗しょう症を招く可能性があるため、病院での重症者への治療に限定し、自己判断での使用を避けるよう呼びかけた。
 第3連合はCovidの重症患者へのコルチゾン投与に関するブラジル初の研究で、協賛のAche社が抗炎症剤デクサメタゾナ(dexametasona)を提供した。研究成果は国家研究倫理委員会(Conep)と国家衛生監督庁(Anvisa)も承認済みだ。イドロコルチゾナ(hidrocortisona)も同様の効果がある。
 研究では最初の5日間は20mg、次の5日間は10mgのコルチゾンを投与した。人工呼吸器を使う期間が短いと、UTI滞在期間が短縮し、院内感染などの可能性も減る。UTIでの患者の回転率改善は、人的資材や経済性という面でも益するところが大きい。