特別寄稿=老化現象への挑戦 アチバイア市在住  中沢宏一

 

アチバイアの自宅農場の庭に4月初頭に咲いた沖縄桜と中沢さん

□序文□
 「老化現象への挑戦」と厳めしい題名をつけたが、老化をそのままにしておくと悪化の方向に確実に進行してゆく。健康に自身があり、まともな食事をし、運動も適宜にしてきた人でも老化は起る。それにそれまでの事故、怪我の後遺症と遺伝的な要素も加わり、現れて来る。
 「70歳になると違うよ」とよく先輩にいわれた。しかし、個々異なるので特別関心はなかった。振り返ってみると、この10年間自身の老化現象に出合い、「私はこのように対処してきました」と言える年になりました。この間に妻を失い、同年代の友人知人が亡くなることが多くなってきました。
 もちろん、これからも老化は日々進行する訳ですが、これまでの体験を活かし、自身のおかれた環境の中で精神と肉体の保持の最善策の方法を探して、老化に対して日々挑戦して実践してゆきたいと思います。
 老化とは別に、ガン、心臓病、糖尿病、喫煙症害、前立腺病、婦人病と多くの病気がありますが、老化現象が加わると病状が加速する。この企画への参加者は専門家ではないので、健康生活に関してのエピソードを加えてもらうと変化が出て参考になると思います。
 30代の頃、薬草で有名なブラガンサ在住の行方さんのところへ訪問した折、当時70代の行方(なめかた)翁がエンシャドン(鍬、くわ)で薬草を掘ってくれました。その時のスパッと打ち込んだ姿から、70歳になってもあのように体を使えるのが、私の一つの目標になりました。76歳の私は同じようにでき目標達成してますが、これから何年続けられるか私の挑戦です。
 できるだけ多くの方々に参加して頂き、自身を奮い立たせる意味と、同先輩及び後輩の皆さんのためにも体験を発表し活用して頂くことは、大変有意義なことと思います。私は決して恵まれた体質を持って生まれていないし、対処方法を間違えれば今頃はほとんど活動できない身体になっていたと思います。
 各々この与えられた命を、お互いの情報交換をし合うことによって、より良い健康生活を過ごされるよう願っております。それらの情報の中から自分に適した治療方法を発見するのは自分自身です。各々身体は異なりますから。

■筆者プロフィール
▼氏名=中沢宏一(Koichi Nakazawa)
▼生年月日=1944年1月10日 76歳
▼子供4人・孫9人
▼出身地=宮城県気仙沼市唐桑町
▼渡伯1963年
▼職業 =農場経営、中沢スポーツ教育センター 経営、サンパウロ州サッカー2部リーグ アチバイアスポーツクラブの拠点
 1,.重度の小児喘息。
 2.11歳頃より乱視が出て12歳で眼鏡使用。
 3.15歳頃より右手の中指、続いて左手の中指も腱鞘炎となり30歳で手術
 4.身体は固い方
 5.家族は父82歳、母92歳で死亡。姉5人中4人死亡、兄2人、弟1人男は健在
■事故・怪我の後遺症
 1.17歳で左肩胸を強打
 2.テニスで右肩、ひじを痛める
 3.14歳木から落下し右肩、胸を強打

■老化現象

中沢さん提供の本人写真

▼血圧の上昇。
 2010年、66歳頃より血圧の上昇が現れる。仕事、運動で汗をかくと正常に戻った。70歳で血圧を下げる薬を使用。71歳でモリンガ飲用をはじめ、それ以後、薬を必要としない。
▼筋、腱の痛み
 70歳―イスに座ってないと左足太もも裏の筋がしびれ苦痛
 72歳―左足膝裏が腫れ正座が出来なくなる。腰から下の全体が指で押すと痛い所が多くなる。
 76歳―左の小指の間接が痛む
▼肩・肘の痛みは怪我の後遺症が加わり慢性状態
▼喉がかれ、声が出にくくなる
 72歳―仕事、運動で疲れた次の日、喉がかれ声が出にくくなる。
 73歳―喉のかれが日常的となり進行する。(糖尿病ではない)
 76歳―痰が出る。押すと喉、首の全体が痛い。

■老化現象への対処方法
▼血圧の上昇
 モリンガ茶の飲用で血圧が安定している
▼筋腱のコリや痛み
 73歳の頃、テレビで筋腱筋肉は膜で覆われていて、それらの癒着が凝りと痛みを生ずるとの番組を見て、バイブレーション器具と指圧で改善して自信を深めた。膜とそれらと癒着したのを剥がしていると判断し、痛い箇所を徹底的に時間をかけ治療する。重症のところは数カ月かかった。
▼肩・肘の痛み
 慢性化しており日常的に最も使うところなので、治療と日々のケアーで改善している。背中の凝り、痛みは疲れが集まり、常に出てくるので肩たたき機で全体をマッサージしている。
▼喉のかれ
 声が出にくくなったのは小児喘息が重症だったので、これは生まれつきの物と諦めていたが、他の部所の治療が改善してきたので、今年に入って喉首の点検を始めた。右側の喉に親指を突込めるが、左側には痛くて入らない。そこでそこから始めた。この部分は2カ月かかった。
 全体が凝り固まって痛い。時間の許す限り集中して続けていると1カ月で痰が少なくなった。6カ月過ぎて前の声が戻りつつある。
     ★
 私の老化は上記のごとく筋、腱、筋肉と膜の癒着が主な原因であると確信している。例えば脛の長い骨の外膜の溝に筋が集まっているが、そこの痛みを取るのに1カ月かかった。足が軽くなり、かかとの痛みが消えた。私の場合、物理療法士、医者に見てもらって治療又は投薬しても改善したとは思えない。
 と言うことは痛いところは自分でないと分らないし、痛いところが癒着しているからです。私の特異な体質かもしれないが若返ったのは事実です。誠に簡単な自己診断です。痛いところをマッサージするだけです。幸いに痛い箇所をいくらマッサージ及び指圧してもそれが原因で悪化したことがない。
【食事】
 基本的には自炊しています。差入れは1割か2割何でも食べる。
▼主食―米、フェイジョン大豆
 フェイジョンを食べるとオナラが頻繁に出るので腸内菌が変化するのを期待して6ヶ月間毎食フェイジョンを食べて見た。しかし変わらないのでフェイジョンを減らしその分を増やしている。
▼副食―オラ・プロ・ノービスは準主食で、それに加え肉(フランゴ・リングイッサ)イモ類、たまねぎ、南瓜、トマト、少々の野菜。
▼果物―自家製の果物が一年中ある。アバカッテ、マモン、ジャブチカーバ、ジャカなど
▼飲物―井戸水、モリンガ茶、自家製ヨーグルト
【運動】
 農場内の仕事が多く、終活の意味でも気づいたところから整理修繕をしている。力仕事が多い。バラの接木で一日中座っての作業が原因で腰を痛め(40歳ごろ)多くの物理療法師にかかっていたが治らなかった。
 特別な健康運動としては、県連事務局長時代の羽田氏からの伝授されたのが、壁に尻をつけ足を上げて5分。それで完治した。今でも腰に異常を感じたらそれを行うとスッキリする。最近この体勢が首、喉の治療に効果的なので利用している。
【現在の健康状態】

「陸のわかめ」とも呼ばれるオラ・プロ・ノービスの葉と新芽

 50kgのセメントを上げ下げ出来る。力がある。腰は強靭。
 1日中エンシャーダの仕事をしても次の日に疲れが残らない。
 食欲旺盛で、オラ・プロ・ノービスには特殊な消化酵素が含まれている。以前夕食で飯、肉を多く食べるともたれたが今はそれがない。
 性欲あるが相手なし
 便通――オラ・プロ・ノービスの食物繊維の効果で快便
 排尿―モリンガは排尿及び前立腺に有効、膀胱許尿量600mm、排尿距離1メートル
 血圧―11×7
 脈拍―62
 常飲薬―なし
 早寝20時半・早起き2時・昼寝・30分~1時間
【今後の健康生活 その他】
 自然の観察と伝えておきたい事柄を子供、孫、友人達に文書で伝え残し、精神の安定を確保したい。その生活の中で身体の健康維持のための食べ物、運動、物理療法、薬草など、情報交換しあいながら、自身の身体に合うものが何か、最前の方法と物を探し、実践して実証してゆきたいと思います。
 15歳で指に腱鞘炎が現れた体質は特異なことと思う。筋肉を使わなければ弱るし、その兼ね合い、コントロールが課題となるでしょう。
 私はコロナ禍になる少し前に、オラ・プロ・ノービスの販売を始めたが高齢の自粛により中止しています。
 しかし、その間、毎食主食のごとく食べ続けており、自らを実験台にして試しております。結果良好で自信をもってお勧めできる日が近いと思っています。
 コロナ禍で終活のつもりで農場内の整理、リフォームを続けて、なんとか大方出来た所で身体の点検及び改善も大方できつつあります。高齢者第一の鬼門を抜けた感じがします。ですからこれからが再出発の心意気です。
 尚、食料、薬草、薬剤、物理療法師、医者、医院、健康器具と製造者などの名称は自由に使用を許可されたらよろしいと思います。


 この原稿は、独自に工夫する老化現象への挑戦や健康法と、それを実践した体験談を披露しあうことで、健康に対する意識を皆で高めようという企画に基づいたもの。その言いだしっぺである中沢さんが、まずは自らの健康法を、具体的な数字や体調の変化を含めて報告している。これを参考に、ぜひ読者の皆さんも、ご自身の健康法を公開できる範囲で書いて、写真と共に送ってほしい。送り先は(「老化現象へ挑戦」係、Jornal NikkeyShimbun, Rua da Gloria, 332, CEP 01510-000, Liberdade, Sao Paulo – SP)、またはEメール(redacao@nikkeyshimbun.jp)まで。(編集部)