《ブラジル》法定アマゾンの伐採削減を=230団体が異例の共同提案

森林の真ん中に造られた牧場と記録的な森林伐採という見出し(16日付G1サイトの記事の一部)

 法定アマゾンの森林伐採、森林火災が進む中、NGO(非政府団体)や農業企業家、金融機関などが連合を組み、法定アマゾンでの不法伐採を短期間で削減するための提言を行ったと16日付現地紙、サイトが報じた。
 「ブラジル気候・森林・農業連合」が政府に提出した文書には、WWFブラジルやWRIブラジルのような環境関連のNGOや、ナトゥーラやユニリーバのような世界有数の消費財メーカー、青年気候リーダー(Youth Climate Leaders)のような市民団体、ブラジル農業ビジネス協会(Abag)やブラジル食肉輸出業者協会(Abiec)などの農業企業家団体、アマゾン人間・環境院(Imazon)のような研究機関など、230に及ぶ企業・団体による共同提案の署名が集まった。
 農業企業家やNGOなどがこれだけの数の署名を集め、法定アマゾンでの伐採削減を提言するのは前代未聞の出来事だ。
 この事は逆に、法定アマゾンでの森林伐採や森林火災の拡大が深刻で、取り返しがつかなくなるターニングポイントを超える可能性がある事や、現在の法定アマゾンは気候や農業、健康など、多方面にわたる損害をもたらす状態にある事など、多くの懸念が広がり続けている事を示す。
 国立宇宙研究所(Inpe)によると、8月の法定アマゾンの森林伐採面積は1359平方キロで、直近5年間では昨年の1714平方キロに次いで多い。森林火災も、1~9日だけで昨年9月の半分以上で、このまま行けば、今年も月間記録を更新する勢いだ。

 8月の森林伐採に関してはImazonも15日、昨年8月を68%上回り、8月としては過去10年間で最悪と発表している。
 だが、アマゾン審議会議長を務めるモウロン副大統領は15日、法定アマゾンでの森林伐採や森林火災が増え続けているというInpeの発表を否定。証拠も見せずに「連邦政府に反対する勢力が嘘をついている」と断言したため、Inpeは即刻「そんな事はしていない」と反論した。
 連邦政府が法定アマゾンでの諸問題に真摯に取り組む姿勢を見せない事は、昨年来、国際的な問題ともなっており、農業企業家からも懸念の声が上がっていた。
 同連合が提出した文書では、監査や懲罰の厳密化、公的な土地の農業開発に関する農業環境登録(CAR)の停止と不法伐採者の摘発、10万平方キロを保護区や持続可能な方法での開発地に指定する、社会環境的な基準での融資採用、州環境機関との協力で伐採などによる植生除去に関するデータの透明性を確保、08年7月以降に森林伐採を行った土地の合法化プロセス停止という、6項目が提言されている。