《ブラジル》コロナ禍=病院関係者が驚きのプレゼント=ICUの窓を挟んで父と再会

窓越しに言葉を交わすソウザ氏親子(上)と自らの体験を語るタリッタちゃん(下)(1日付G1サイトの記事の一部)

 ブラジル北部トカンチンス州州都のパルマス市の病院関係者が、新型コロナウイルスの感染患者に驚きのプレゼントを用意した。

 プレゼントを受け取ったのは、コロナ感染症で集中治療室(ICU)に入院中の弁護士ジョゼ・ウーゴ・ソウザ氏だ。11日間の入院で症状が少し落ち着いた同氏は、1日に初めて廊下を歩く事が認められた。
 予期せぬプレゼントが用意されていたのはこの時だ。病院の関係者は、ウーゴ氏の父で薬剤師のフランシスコ・ソウザ氏が、少しでも息子に近い所にいたいと、11日間、1日として欠かす事なく病院の前まで来て、息子の事を気遣っていた事を知っていた。
 コロナ感染症で入院した患者は見舞客と会う事が出来ないが、病院関係者らはフランシスコ氏の姿に心を動かされ、ウーゴ氏が廊下を歩く際、1階(日本的にいう2階)の廊下と病棟前の地面の上と、距離を置いてではあるが、数分間、言葉を交わす事が出来るように配慮したのだ。

 息子の姿を見、言葉も交わしてホッとしたフランシスコ氏は、ウーゴ氏が退院するまでは毎日通い続けると約束。「家族は皆、何をしたらいいのかわからず、不安に駆られている。でも、全てを神に感謝しなくては。皆、1日も早い回復と自宅に戻って来る事、しっかりと抱擁を交わす事だけを願って待っている」と語った。
 コロナとの戦いは、既に回復した人にとっても心揺すぶられる経験だ。僅か10歳で感染した上に、当時は市内の病院に病床がなかったため、パルマス市から州北部のアラグアイナ市に移送されたタリッタ・ドス・サントスちゃんと母親のジスレネ氏は、当時の事を思い出し、現在は共に過ごせている事を考えると、涙を禁じ得ないという。
 ジスレネ氏は改めて、「この病気は年寄りだけを苦しめ、殺すのではない。誰もが感染しないよう、細心の注意を払う必要がある」と呼びかけている。
 トカンチンス州では1日で、同州で最初の感染者が確認されてから200日を数えた。1日現在の同州の感染者は6万8606人、死者は948人だ。この内5万2208人は既に回復したが、1万5450人は、治療中か自宅隔離中だ。(1日付G1サイトより)