《ブラジル》森林火災=消火用薬剤で環境汚染?=警告にも関わらず政府が使用

 連邦政府がゴイアス州シャパーダ・ドス・ヴェアデイロスの森林火災を抑えるために使用した消火用薬剤は、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)が環境や人体に多大な影響を及ぼす可能性があると警告していたものだったと13日付現地サイトが報じた。

 硫酸アンモニウムなどを含むこの薬剤は、先週末、水を混ぜて空中散布された。リカルド・サレス環境相によると、製品には毒性はないし、自然に還元されるとした上、9キロに及ぶ火災の鎮火に要する時間が3日から5時間に短縮されると製造元が説明したという。
 だが、Ibamaは2年以上前からこの薬剤の使用に疑問を呈している。最初の警告を発したのは2018年で、土壌や水質が汚染され、人体や周辺コミュニティに危険が及ぶ可能性があると指摘していた。

 また、Ibamaの森林火災警戒撲滅センターの技術者達は7月、消火作業にこの薬剤を使った時は常に、周辺地域で動物の死体が発見されているとし、薬剤使用後40日間は水の飲用や釣り、猟、野菜や果物の消費を避け、6カ月間は観察を行うよう要請していた。
 薬剤使用への疑問や反対は根強く、同センターでは8月にも、安全性が証明されておらず、パンタナルのように多数の野生動物が生息する地域や先住民居住区などでの薬剤使用は控えるべきと提言。カアチンガやセラードなどの地域についても、薬剤使用は勧められないと進言していた。
 硫酸アンモニウムが付着した植物の葉は傷ついて死ぬ事がわかっている上、水や紫外線にさらされた場合の危険性は研究不足で、使用の際の安全基準も明確ではない。薬剤について警告した責任者は解任され、10月に薬剤が購入、使用されたが、新しい責任者もその後に辞任したという。