《ブラジル》コロナ対策のアルコール品質に問題=70%のはずが4%?

コロナ禍で需要が高まったアルコールジェル(Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)

 パラナ連邦大学(UFPR)の化学関連の部署が行った調査で、国内で販売されているアルコールジェルの一部は、必要な品質を満たしていない事がわかった。問題ありとされた商品に最も頻繁に見られたのは、ウイルスなどを殺し、適切な衛生管理を行うために必要な濃度を満たしていないという問題だ。
 UFPRでは、新型コロナウイルスによる感染拡大が起き始めた4月以降、全国各地から送られてきた100近いサンプルの分析を行って来た。
 調査責任者のアンデルソン・バリソン教授によると、サンプルの約4分の3はアルコール濃度が70%に達していなかった。直近3カ月間に分析した28のサンプルの場合、21の濃度が70%未満だった。特にひどい五つは濃度が40%未満だったという。
 UFPRが分析を始めたのは、新型コロナウイルスへの感染を防ぐためには、水と石鹸で手を洗うか、70%以上のアルコールによる消毒が有効との情報が広がり、消毒用のアルコールの需要が高まった事でアマゾナス州やパラー州その他の州からサンプルが送られて来始めたからだ。
 水と石鹸で手が洗えない時は70%以上の濃度のアルコールで消毒をという勧めは保健省からも出ており、安全上の理由でスーパーなどの店頭から消えていた70%濃度のアルコールの需要は急速に高まった。充分な消毒効果を得るためのアルコール濃度は68~72%とされている。
 バリソン教授によると、最悪のサンプルのアルコール濃度は4%で、水と大差がなかった。低品質のアルコールジェルは、ウイルスを殺すどころか微生物の繁殖を助ける可能性がある。

 同教授によると、粗悪な商品は伝統的で誰もが知っているメーカーのものではなく、需要の高まりを悪用し、ぼろ儲けしようとした商品か、製造方法を良く知らず、結果的に欠陥商品となったものと思われるという。
 UFPRでは、消費者や製造業者の疑問にはいつでも対応する意向で必要な指導も行う。アルコール濃度の分析などを希望する人は、eメール(alcoolgel@c3sl.ufpr.br)で連絡をとるか、UFPRのCentro Politécnicoにサンプルを送付すればよい。
 消毒用商品の濃度に関する問題は、消費者保護センターなどでも問題視している。パラナ州マリンガー市の消費者保護センターは8月に、スーパーや薬局などで売られている商品を1800点以上回収した。
最も深刻な問題はアルコール濃度が不充分な事だが、商品の一部には、国家衛生監督庁への登録に関する記述がない、ラベルの文字が小さ過ぎて読めないといった問題もあった。
 同消費者センターが回収した商品32種中、17種は誤差の範囲内(最良の例は濃度68%)として販売が認められたが、15種は60%未満で販売禁止となった。商品分析は州立マリンガー大学が行ったが、粗悪商品の中にはマンジョッカのでんぷんや成分が分析できない物質を使ったものさえあったという。(5日付アジェンシア・ブラジルより)