《ブラジル》ボルソナロ大統領「アマゾン問題は火薬で決着」=バイデン氏へ宣戦布告か?=次期大統領と認めないまま

10日のボルソナロ大統領(Marcos Corrêa/PR)

 ボルソナロ大統領は10日、米国のジョー・バイデン次期大統領がアマゾンの森林伐採急増を批判し、他の国々とともに制裁を加える可能性を示唆していたことに対し、「火薬で対抗する」と武力で反抗することをほのめかし、大きな問題となっている。11日付現地紙が報じている。
 バイデン氏が米国大統領選を当選確実としてから10日で4日目を迎えたが、ボルソナロ大統領はバイデン氏を次期大統領として認める発言をしていない。
 ボルソナロ氏は、トランプ大統領が主張し続けている「バイデン氏側の不正」を唱えるようなことこそしていない。だが、バイデン氏に対して早速、「宣戦布告」ともとれる発言を行っている。
 10日、ボルソナロ氏はアマゾンの森林伐採問題について「資源に富んだ国は利権を狙われやすい」と語った後、バイデン氏の名前を直接出さなかったものの、「ある大きな国の候補者が最近、私がアマゾンの火を消さなければ経済上の障壁をつくると言っている。なぜ、そのようなことができるのだ。なあ、エルネスト」と、熱心なトランプ派として知られるエルネスト・アラウージョ外相に同意を求めた。
 さらに「唾液が乾いたら、解決は火薬でやるのみだ(quando acabar a saliva, tem que ter pólvora)」と語り、「対話で解決できないなら武力で」ととられかねない発言を行った。

 バイデン氏は今回の大統領選のキャンペーン中、「アマゾンでは熱帯雨林が破壊されている」とし、「もしブラジル政府が言うことを聞かなければ、経済的な制裁を受けるだろう」「私が大統領になったら、他の国と協力した上、200億ドルを提供して、アマゾンを守る」と発言し、ボルソナロ氏を怒らせていた。
 バイデン氏は環境問題に熱心で、トランプ大統領が4日に離脱を宣言したパリ協定に対し、当確直後に早速再加入する手続きに動いている。
 ボルソナロ氏は10日、先の発言と共に「ブラジルは鉱物資源だけでなく、農業資源や観光資源にも富んでいる」「ブラジルの経済を自由にさせろ。働きたいものに働かせ、生産したいものに生産させるまでだ」とし、森林伐採を促進する形での農業の開拓を肯定した。
 このボルソナロ氏の発言が行われた数時間後、ブラジル駐在米国大使のトッド・チャップマン氏はツイッターで、米国とブラジルの軍事的関係の良好さをほめたたえる声明を出し、事態の収拾を図っていた。
 アミウトン・モウロン副大統領もボルソナロ大統領の発言を、「古いことわざのような言い回しをしたまでのこと」として、深刻に受け止めすぎないことを勧めていた。モウロン氏はすでにバイデン氏のことを「大統領」と呼んで歓迎している。
 ボルソナロ大統領はこの日、コロナワクチンの「コロナバック」に関しても物議をかもす発言を行っており、野党側から罷免を求める声が強まっていた。