日本移民資料保存のために、JICAブラジル事務所(佐藤洋史所長)からドイツ製図面製本スキャナーOS12000が、ブラジル日本移民史料館(山下リジア玲子運営委員長)へ貸し出される「貸与式」が、10月28日にサンパウロ市の文協ビル内で行われた。
佐藤所長は「JICAは以前から日系移民史への連携支援を行っており、史料の収集や保存、展示にも協力してきました。今回、貸与したこのスキャナーを使ってブラジル日本人移民の功績を後世に遺していただきたい」はそう貸与した機材の意義を語った。
同館は現在、国内の日本移民史料館同士のネットワークを強化し、各所に散財する関連史料を把握・共有するために、各館担当者との連携を強めている最中だ。史料の中でも印刷物は劣化が激しく、現物に触れなくても内容が閲覧できるようにデジタル化することが喫緊の課題となっていた。
中でも邦字紙や大判の雑誌などはサイズが大きく、市販のスキャナーではデジタル化が不可能だった。今回の高価な大型高性能機材で、ようやくそれができるようになる。JICAはこの機材を5年間貸与するという。
同史料館には1916年にブラジル初の邦字紙「週刊・南米」に始まり、現在にいたる莫大な量の日本語新聞や雑誌、刊行物が収蔵されている。一部はすでにマイクロフィルム化されているが、読みづらいなどの問題があり、デジタル化が望まれていた。
山下運営委員長は「こんな高性能なスキャナーを貸していただき本当にありがとうございます。今まで以上に史料の保存が促進されます」と感謝した。
史料館を傘下に置くブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長も式に出席し、「このスキャナーを大いに活用して、日本人移民の歴史をしっかりと後世に残そうと思います。本当にありがとうございます」と深謝した。