《ブラジル》アマパー州=火力発電機運び込み当分補強=変電所回復までの応急措置

火災で使えなくなった変圧器(Policia Civil/Divugacao)

 【既報関連】3日から広域停電が続くアマパー州に火力発電機が届き、火災が起きた変電所のフル稼働までの電力供給を保証するための稼働開始を待っていると17日付現地サイトが報じた。
 3日に始まった広域停電は多国籍企業イゾルックスが運営する州都マカパーの変電所で起きた火災が原因で、火災直後は落雷による火災との報道も流れた。だが、11日発表の予備調査の結果によると、避雷針には損傷がなく、機材の一部の異常加熱が原因の火災との見方が強い。
 広域停電は16市中13市に及び、州民の9割が影響を受けた。火災が起きた変圧器の一つを修理した事やコアラシ・ヌネス発電所からの供給強化で、電力供給は7日から徐々に回復し始めた。
 だが、もう一つの変圧器の修理(交換)は遅れ、停電から15日後の17日も完全復旧と安定した電力供給には程遠い。
 そこで採用された当面の解決策は、マカパー市とサンタナ市の変電所に火力発電機を持ち込み、マカパーの変電所の完全復旧までの電力を補う案だ。アマゾナス州マナウスから水路で運び込まれた発電機は16日にサンタナ港で降ろされ、変電所に運ばれた。だが、全ての発電機の設置と稼働には時間がかかり、電力供給が100%になるまでの日数は不明だ。
 7日以降の電力供給は6時間単位の輪番制だったが、その後、3~4時間単位の輪番制に変わった。17日現在の電力供給は、コアラシ・ヌネス発電所から70メガワット、マカパー送電線システム(LMTE)から140メガワットで、不足分を火力発電機で補う。

 マカパーの変電所で使用されていた変圧器1基は交換が必要で、既に、同州南部ラランジャル・ド・ジャリから移送された。だが電力供給の正常化はまだ遅れ、輪番制は26日まで継続される。
 同州での広域停電は少なくとも2年前から警告が発せられており、国家電力庁(Aneel)や全国電力システム運営機構(ONS)も実態を知らされていた。また、Aneelによる立ち入り検査は5年間行われてなかったとの報道もある。
 広域停電が長引き、電力やネットや水の供給、医療サービスその他、日常生活にも支障をきたす事を不満とする市民の抗議行動はマカパー市だけで90回以上発生。15日のマカパー市長・市議選は12月13日に延期された。
 市民が直面する問題は食料不足などだけではなく、人工透析を受けられなくなった男性が体調を崩して亡くなったとか、予防接種用ワクチンを自家発電が可能な肉屋に保管といった報道もある。コロナ感染症患者や死者も増えているが、治療や実態の集計すら困難だ。
 同州の消費者保護センターは既に、イゾルックスやLMTEの責任を問うための手続きを開始。同州選出のダヴィ・アルコルンブレ上院議長も12日、連警や連邦検察庁に調査を求める意向を表明した。17日には下院で再度、議会調査委員会(CPI)設置を求める署名が提出されたが、CPIの数は制限があり、設置の可否は不明だ。