《ブラジル》コロナ禍=検査キット期限切れで大量廃棄?=感染再増加中に686万人分も=ICU占有率や死者数も急上昇

コロナ感染症者の週別推移(保健省公式サイトより)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染者や死者が再び増えている中、サンパウロ州グアルーリョス市で保管されている新型コロナの検査キット686万人分が廃棄処分となる可能性があると22日付エスタード紙が報じた。
 グアルーリョス市で保管中の検査キットは715万人分で、その96%(686万人分)は12~1月に使用期限が切れる。残りの使用期限は3月だ。
 保健省は検査購入に7億6450万レアルを費やしており、統一医療保健システム(SUS)では500万人分の検査を行った。 つまり、今回廃棄処分となる可能性がある検査はこれまでに実施した検査数を上回る。
 保健省は同件について、同省は購入責任者だが、自治体への配布は州や市からの要請に基づいて行われており、有効利用できなかった責任は自治体にあると弁明している。
 だが、各自治体は保健省が配布したキットの一部は綿棒や試験管、反応薬などが不足し、使えないと苦言を呈す。この問題は以前から指摘されていたが、保健省は使用期限延長の可否を問い合わせただけで、不足分の資材は補給していない。
 世界保健機関(WHO)は常に、一斉検査による感染者や感染実態の早期把握が感染拡大抑制の鍵を握ると訴えている。だが、ブラジルは一斉検査をせず、感染が拡大した。22日現在の感染者は世界3位の607万1401人で、死者は世界2位の16万9183人だ。
 ブラジルの感染者は7月19~25日(感染学上の第30週)以降、増減を繰り返しながらも減少傾向を保っていた。だが19日付G1サイトはブラジルでの検査数は9、10月と2カ月連続で減少していたと報じている。

 また、保健省のシステムが麻痺し始めた11月5日を挟む1~7日(感染学上の第45週)に感染者減を記録した後は2週連続で増加。15~21日(第47週)の感染者20万3827人は、9月13~19日の21万2553人以来の20万人台となった。

コロナによる死者の週別推移(保健省公式サイトより)

 他方、第47週の死者3331人は、3389人だった第46週より少ないが、第46週は第45週に加算されなかったサンパウロ州などの分も含まれており、実質的には2週連続の増加だ。
 11月に入ってからの感染者や死者の増加が目立つのは南部や南東部だ。21日付フォーリャ紙によれば、17日現在の州立病院のコロナ患者用集中治療室(ICU)占有率上位州は、エスピリトサント84・3%、アマゾナス82%、アマパー79%、サンタカタリーナ75・7%、リオ・グランデ・ド・スル74・9%、ペルナンブコ73%が70%超。
 州都で80%超なのは、ヴィトリア87・8%、フロリアノポリス87・8%、ポルト・アレグレ85・4%、クリチバ82%、マナウス82%、リオ80%の6市。22日現在のリオ市のICU占有率は92%となり、状況は悪化している。
 また、サンパウロ州ソロカバ市の占有率100%など、医療崩壊や崩壊寸前の状態の自治体もあり、死者増が続く可能性がある。
 先住民の感染が相次いだりして住民100万人あたりの感染者が10万2千人超のロライマ州や同7万4175人の連邦直轄区など7州では、住民100万人あたりの死者が1千人を超えている。