《ブラジル》コロナ禍=リオは医療崩壊寸前か=サンパウロ州でも規制強化求める声=第2波到来は否定するも

医療崩壊が疑われるリオ州(27日付G1サイトの記事の一部)

 【既報関連】新型コロナで第2波到来を口にする専門家も出始める中、リオ州では入院待ちの人が連日200人を超えるなど、医療崩壊の兆候が出ている。オズワルド・クルス財団(Fiocruz)は第2波到来を否定したが、感染者や死者の増加を認め、警告を発したと27日付現地紙、サイトが報じた。
 27日付サイトによると、リオ州では同日朝の公立病院のコロナ感染症患者用集中治療室(ICU)占有率が94%に達し、病室が空くのを待っている人は276人(内123人はICUの空き待ち)と報じた。私立病院のICU占有率も90%を超えている。
 同州のICU占有率は5月4日の98%が最高だが、当時のコロナ感染者用病床は2564で、現在は1253のみ。
 同州の26日現在の感染者は前日比1644人増の34万6024人、死者は同138人増の2万2394人だ。直近7日間の1日あたりの感染者増加数は2週間で88%増え、感染者や死者の増加傾向は5月並みだ。
 同州では当時も最近も、入院を待つ間に自宅で亡くなる患者が出ている。
 同州は、一斉検査を行い、商業活動は継続との方針を打ち出したが、市民達は検査を受けるのは困難と訴えている。
 リオ州同様、感染者や死者の増加が確認されているサンパウロ州では専門家が規制強化の必要を訴えているが、州政府は規制見直しは決選投票後の30日に行う事を決めている。

 27日付エスタード紙によれば、サンパウロ市のコロナ感染症者用病室の占有率は公立病院60%、私立病院66%だ。病室占有率が60%を超えたのは5月以来。コーヴァス市長は市外在住者も入院しているとしつつ、200床増加を命じた。
 感染者や死者の増加が目立つのは南部と南東部だ。Fiocruzは26日、5~11日に生じた保健省のシステムの問題でデータに偏りがある事に触れた上、8~21日(感染学上の46~47週)は、アマパーやリオ、サンパウロ、サンタカタリーナ、パラナの各州で感染者が増え、ロライマ、ミナス、リオ、サンパウロ、リオ・グランデ・ド・スル、ゴイアスの各州で死者が増えたと報告。
 この間の感染者や死者の増加は「第2波到来」と言えないとの見解を示しつつ、社会的な距離の確保と一斉検査による感染実態の把握と拡大抑制の必要を訴えた。パラナ州クリチバ市では27日に規制強化を発表している。
 26日のブラジルの感染者は前日比3万7614人増の620万4220人、死者は同691人増の17万1460人で、27、28日も20、21日並みに増えれば感染者と死者の増加数が前週を超えるのは必至だ。
 専門家は、現在の感染者や死者の増加は規制緩和で人の動きが増えた事と人々の警戒心が緩んだ事が原因と見ている。
 ボルソナロ大統領は26日、「新型コロナ感染症を単なる風邪(GRIPEZINHO)と呼んだ録画や録音はなく、メディアのでっち上げ」とし、責任逃れを図った。
 だが同日付のメディアは3月のビデオも添えて同件を報道。大統領との関係悪化後、検査キット期限切れ問題などで責任追及を受けているパズエロ保健相は同日、「辞めるなら喜んで辞めて軍に戻る」と語った。