《ブラジル》政府契約企業が大統領四男に便宜図る?=企業立ち上げの映像作成=野党らは早くも強い反発

レナン・ボルソナロ氏(Twitter)

 連邦政府と契約した企業が、ボルソナロ大統領四男のレナン氏(22)の私的な映像制作の仕事を無料でしていたことが発覚した。10、11日付現地紙、サイトが報じている。
 問題となったのはアストロナウタス・フィルメス社で、これまでに、連邦政府関連の仕事で140万レアルを受け取っている。業務実績としては、教育省や保健省のためにビデオ制作など。業務内容は、連邦政府のサイトでの利用者に対してのポートフォリオの作成や、連邦政府が主宰するイベントの録画や撮影といったもの。
 保健省は、新型コロナウイルス感染症や予防接種関連のビデオの制作で、64万2千レアルを支払ったことを認めている。
 この企業はまた、観光省関連の仕事や、官房長官が統括する政府プログラムでボルソナロ大統領夫人のミシェレ氏がコーディネートをつとめる「パトリア・ヴォルンタリア」の仕事にも関わっているとされているが、こちらの契約金額は明らかにされていない。 
 同社はさらに、レナン氏が運営する企業でも映像制作の仕事を請け負っていたと報じられた。レナン氏はまだ22歳で法学を学ぶ学生だが、すでに父ボルソナロ氏とともに公務に出席している姿がたびたび目撃されている。レナン氏は今年の10月に、ブラジリアのマネ・ガリンシャ・スタジアム内に自身の企業「ボルソナロ・ジュニオル・エヴェントス・エ・メディア」の事務所を構えた。

 アストロナウタス社は、映像に同社の名前をクレジットとして出すことを交換条件に、レナン氏の企業の仕事を無料で請け負っていた。
 レナン氏への仕事の映像の一部は、同氏のプロジェクト用のインスタグラムにあげられている。そこではアストロナウタス社の社主フレデリコ・ボルジェス・デ・パイヴァ氏がレナン氏と共に行事に同席し、抱きしめあったり、楽しげに会話を行う姿も映されている。
 この映像は11月16日に行われたレナン氏の企業の創立パーティの映像と見られており、映像のほとんどがレナン氏の踊る姿だ。また、父ボルソナロ氏の真似をして、手で銃の形を作り、撃つ真似をする姿も見られる。このパーティには、熱心な大統領支持派のエーリオ・ロペス下議(自由党・PL)などの姿も見られている。
 パイヴァ氏はフォーリャ紙の取材に対し、映像業務を無料で請け負ったことを認めている。実際の制作費用は明かされていない。また、レナン氏の会社の最初の仕事はレナン氏のスポンサーとのものとされ、このスポンサーが、大統領特別補佐官の口利きで、現政権の閣僚と時間外の会合を持ったりしていたことも報じられている。
 アストロナウタス社が無料で仕事を請け負ったことが報じられたことで、野党側は連邦政府の倫理的責任を問い始めた。連邦議員の一部は既に、連邦直轄区検察局や連邦会計検査院(TCU)などに、この件に関する捜査を求めて動き始めている。