《ブラジル》レストランで咳して飛び蹴り食らう=「コロナ拡散する気か!」と怒る客から

後方から被害者に襲い掛かる暴漢(9日付G1サイトの記事の一部)

 新型コロナの感染再拡大で皆が神経質になっている中、感染者増加が目立つ南部パラナ州のレストランで、食事をのどに詰まらせて咳込んだ男性が、別の客から暴行を受け負傷するという事件が起きた。
 事件が起きたのは9日夜。パラナ州都クリチバ市在住の男性は、妻と共にレストランへ行き、食事をしていた。ところが食事がのどに詰まって咳をしたところ、少し離れたテーブルにいた男性客がものも言わずに飛びかかり、殴る・蹴るの暴行を加えた。最初の飛び蹴りは男性の妻も巻き込み、二人にけがを負わせた。
 椅子から転がり落ちた男性がやっとの思いで立ち上がると、暴漢は「お前はコロナの感染者だろう? 咳をして、ウイルスをまき散らそうとしたに違いない」とまくしたててきたという。
 男性が「感染なんかしていない」と言うと、暴漢は「俺の家族は皆、コロナに感染して入院しているんだ。それなのに周りで咳をしたりする奴がいたから、きっと、こいつもウイルスをまき散らかそうとしているに違いないと思い込んでしまったんだ」と釈明したという。

 それを聞いた男性が、「俺も3カ月前に父親をコロナで失ったんだが、そのせいで人に暴力を振るうつもりはさらさらない」と言うと、暴漢は謝った後、連れ合いと共に立ち去ったという。
 被害に遭った男性は、マスク着用その他の感染予防措置を行ってレストランに赴いた。だが少し咳込んだせいであらぬ嫌疑をかけられ、夫婦そろって負傷した。男性夫妻は警察に行き、被害届を出した後、けがの状態を確認するために法医学研究所で身体検査を受けた。
 一緒にいて負傷した妻は「感染が怖いなら、外に出てウイルスにさらされるより、家にいるべきよ。薬局やスーパーに行って、誰かが咳をしたら、『お前はコロナ患者だな!』なんて言いながら暴力を振るうのが当たり前だと思う?」と語っている。
 警察は今後、防犯カメラの映像を分析して暴漢を特定し、傷害罪で告発する意向だ。レストラン側は防犯カメラの映像を提出後、体温測定や人数制限、営業時間などのコロナ対策を徹底している事と、どんな状況であっても暴力は認められないとの意向を明らかにしている。(10日付G1サイト、11日付UOLサイトより)