《ブラジル》コロナ禍に苦しめられた1年=2020年の10大ニュース=パンデミック中に波乱と混乱

ボルソナロ大統領(Alan Santos PR)

 今年のブラジルで何が起こったか。2020年は全世界が100年に1度の規模となる「新型コロナウイルス」の大流行に翻弄された1年となったため、編集部が独自に選んだ10大ニュースのほとんども、それとは切り離せないものとなった。
 「10大ニュース」の第1位は「コロナ禍とボルソナロ大統領」。世界各国の首脳がコロナのパンデミックで外出自粛規制の対策を行う中、ボルソナロ大統領は「あんなのはただの風邪」「それがどうした。人生は続く」「墓掘人ではないので死者の数はわからない」などの発言を行い、国際的に物議を醸した。ブラジルでのコロナ禍による死者数は20万にも迫る勢いで世界ワースト2位だ。
 第2位は「反民主主義、フェイクニュース捜査」。大統領はコロナ禍がはじまった最中の3〜5月頃、意にそぐわない連邦議会や最高裁に対し、アンチのデモを煽った。民主主義の原則である「三権分立」を脅かすこの行為は国民の強い反感を招いた。
 その結果、フェイクニュースを多用してこの「反民主主義デモ」を煽った政治家や企業家、愛国主義者に対する一斉捜査が行われ、大統領に対する罷免請求も続発。大統領は罷免を恐れ、これ以降トーンダウン。中道勢力「セントロン」に接近するなど、方向性を変えた。
 第3位は「長男フラヴィオに捜査の手」。18年12月に発覚した大統領長男フラヴィオ上議の幽霊職員を使った不正所得(ラシャジーニャ)疑惑の捜査が進み、リオ州議時代に職員給与をキックバックをさせていた中心人物ファブリシオ・ケイロス氏が6月に逮捕された。

 第4位は「セルジオ・モロ法相の辞任」。ラヴァ・ジャット作戦の裁きで国民の圧倒的な支持を得ていたモロ法相が4月24日、突如辞任を発表した。辞任会見で、大統領がフラヴィオ氏や家族および友人たちへの捜査を恐れ、リオの連警人事に干渉しようとしたがかなわず、連警長官を辞任を装って解任したことや、大統領による連警人事への干渉がモロ氏辞任の引き金となったと暴露したことは、今も尾を引いている。
 第5位は「疑惑の閣僚会議」。モロ氏辞任の決定打となった4月22日の閣僚会議の様子が1カ月後に公開されたが、ここでは大統領の疑惑ではなく、「最高裁判事を刑務所に入れろ」といったウェイントラウビ(当時)教育相や「コロナ禍の隙に環境法をゆるめたい」と語ったサレス環境相などの問題発言がむしろ目立った。
 第6位は、こうした連邦政府への反抗とコロナ対策で影響力を得たジョアン・ドリア・サンパウロ州知事をはじめとした「知事たちの反乱」。第7位は、そんな知事たちの中、コロナ禍で不正を働いた容疑でのウィルソン・ヴィッツェル・リオ州知事の停職処分。
 第8位は、そのリオ選出のフロルデリス下議の夫殺害計画実行事件。第9位はトランプ大統領の米国大統領選敗北と全国市長選でのボルソナロ大統領応援候補の敗戦。そして第10位に、外出自粛令で経済的大打撃を受け、多くの国民が緊急支援金頼みの生活に陥った、国民の「新しい日常」が選ばれた。