《ブラジル》増加傾向のままコロナ死者20万人超=年末年始の緩みで感染が再加速=20日頃から接種開始が可能か

新規感染者の1日毎の推移(保健省公式サイト)

 新型コロナウイルスの感染拡大が加速化し、7日の新規感染者数が新記録を更新。死者も20万人を突破した事を受け、専門家らが昨年以上の惨事が起こり得ると警告を発したと7、8日付現地紙、サイトが報じた。
 7日現在の感染者は前日比8万7843人増の796万1673人、死者は1524人増の20万498人となった。新規感染者数は12月16日の7万574人を大幅に上回り、新記録更新。1日の死者数も、7月29日の1595人に次ぐ2番目の多さとなった。
 今回の感染者数急増は専門家らが懸念していた年末年始の感染拡大が起きた証拠と見られている。死者の増加は11月から始まり、12月により顕著になった感染拡大の結果だ。
 ブラジルでの死者が10万人を超えたのは最初の感染者確認から165日目(死者確認から145日目)の8月8日。当時は1日平均の新規感染者数が減少し始めていた。
 だが、死者20万人超えは最初の感染者確認から317日目で、1日の新規感染者、死者が共に増加し続ける中で起きた。
 11月以降の感染再拡大は11月の連休と選挙戦、経済活動の再開、気の緩みなどが引き金だった。今回の感染者急増は、11、12月に出された警告後も、警戒心が緩んだまま、マスク着用や3密回避などの基本的な抑制策も守らずに年末年始を過ごした結果だ。
 医療体制にも影響が出始めたため、夜間外出禁止や外出規制強化などを採用した自治体は、これらの措置を継続、強化する姿勢を見せている。
 専門家らは現在の感染拡大傾向は昨年末から顕著で、路上に遺体が並び、遺体を乗せたトラックが走るなど、第1波の昨年中頃には見られなかった事態が今回は起こり得ると警告。科学的な根拠で発した忠告に従わず、国として一貫した対策を採らなかった結果との声まで出ている。

死者の1日毎の推移(保健省公式サイト)

 死者が20万人を超えた事を受け、パズエロ保健相は7日、「残念ながら、新型コロナにより夢や計画半ばで命を落としたブラジル人が20万人を超えた。ボルソナロ大統領、保健省、全政権の名において、愛する人達を失った家族に哀悼の意を捧げる」との声明を出した。
 同相は、航空業界、軍、公民企業などの全部門と連邦政府を挙げ、一人でも多くの命を救うために邁進する所存である事や、予防接種キャンペーン開始に向けた準備も進めている事も強調した。
 予防接種キャンペーンに関しては、保健省が7日、4月までに4600万回分、年内では計1億回分のワクチン購入契約をブタンタン研究所と締結。同研究所は8日朝、コロナバックの緊急使用許可を正式に申請した。オズワルド・クルス財団(Fiocruz)も7日、オックスフォード・ワクチンの国内生産を20日から開始する意向を表明。8日には緊急使用許可申請も行った。
 レワンドウスキー最高裁判事は7日、5日以内に予防接種に関する資材の在庫や購入計画関連の説明をと保健相に命じた。ボルソナロ大統領は注射器の入札差し止め時、各自治体には在庫があるとしたが、各自治体の在庫は他の予防接種用で、専門家も他の防接種実施への影響を懸念していた。
 予防接種ワクチンの緊急使用許可は10日以内に出る予定で、保健相は20日前後から接種開始が可能と見ている。