《ブラジル》ボルソナロ暴言炸裂=マナウスに酸素援助したベネズエラに「(余裕あるなら)自国民に緊急支援金払ったら」=「民主主義にするかは軍が決める」

ボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)

 ボルソナロ大統領は18日、「民主主義か軍事政権かを決めるのは軍だ」と発言し、各方面から厳しい批判を浴びた。19日付現地紙が報じている。
 この発言は、18日に大統領が大統領官邸前にいた支持者と交わした会話の中で飛び出したものだ。
 ボルソナロ氏はこの時、支持者に対し、「ある国が民主主義の世に生きていくのか、軍事政権下で生きていくのかを決めるのは軍だ。軍が軍事政権を望んでいない国では民主政治となる。ブラジルにはまだ自由がある。だが、我々が軍の価値を認めなければ、それは変わりうる」と発言した。
 この会話の映像はネットに流出。それは大統領次男のカルロス氏のアカウントでも拡散された。
 この映像ではさらに、「軍はここ20年間で壊されてしまった。社会主義を望む人たちにとって、軍は最後の障壁だからな」とも語っている。
 この発言に対しては、直後から強い批判が巻き起こった。ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)は、「大統領がまた民主主義を脅かそうとしている。善良な国民は無能な統治ぶりに怒り、憲法を犯そうとする行為を非難している」とツイッターにつづり、「黙れ!」と締めくくった。

 同党上議のタッソ・ジェレイサッチ氏やジョゼ・セーラ氏、元国防相のラウル・ジュングマン氏らは一様に、「民主主義は国民が望んでいるものであり、軍は民主主義に仕えるもの」と大統領発言に反発した。
 労働者党(PT)のグレイシ・ホフマン党首も、「軍に民主主義か否かを決める権利はない。軍は共和国と憲法の下にあるだけだ」とツイートし、「我々は民主主義の世に生きているのであり、それを脅かす行為は厳しくとがめられるべきだ」と記した。
 大統領はアマゾナス州マナウスで起きた医療崩壊の問題や、コロナワクチンに関しても、有効な対策を講じず、むしろ妨害していたとして社会的批判が高まり、罷免を求める声が再燃している。その最中に再び、厳しい反発を買う発言を行った。
 問題発言の中で大統領は、医療崩壊に陥ったマナウス市に大量の酸素提供を申し出たベネズエラのマドゥーロ大統領を皮肉って、「(余裕あるなら)自国民に緊急支援金でも払ったらどうだ」「あの国では最低賃金をかせいだって米さえ買えない」などと語っていた。