《サンパウロ州立校》久々に対面授業を再開=恐る恐る通う新学期に

 サンパウロ州で8日、州内でもっとも学校数の多い州立校で対面授業を伴う新学期がはじまり、州内約5100校で330万人の生徒が学校に戻った。8日付現地サイトが報じている。
 対面授業の再開は、コロナ禍ということもあり、当初の予定より1週間遅れてはじまった。8日は予定通りに授業を再開した。
 サンパウロ州の教職員組合は安全の確保を求め、「教職員がワクチン接種を受けるまでは対面授業再開に反対」とし、1月に地裁に訴えを起こした。地裁側は一度は新学期の開始を差し止めたが、サンパウロ州側が控訴し、逆転した。
 組合側はこれを不服として、8日からストを宣言。こうした混乱の中、州立校の新学期(対面授業)は開始となった。
 サンパウロ州内の学校は、2020年3月に非常事態宣言により閉校(対面授業停止)。9月に対面授業を再開したが、市によっては昨年内の授業再開を禁止する市も現れ、州も授業出席を強制していなかった。このため、8日からの新学期が久しぶりの授業になる生徒が多い。

 5日に発表された基準の見直しで、サンパウロ市やカンピーナス、サントス海岸部をはじめとし、州内の人口の66%を占める6地区が黄レベル(5段階中3番目)となったため、これらの地域では生徒全体の70%までの対面授業が認められる。8地区あるオレンジ・レベル(5段階中2番目)、3地区ある赤レベル(5段階中最悪)では、対面授業の出席率上限が35%となる。
 対面授業再開か否か、どのカリキュラムを対面とするかの判断は学校側が行い、対面授業に出席するか否かの最終判断は生徒や親が行うことになるが、出席希望者が多い場合は輪番制となる。また、ハイリスクの教職員はこれまで通り、自宅勤務となる。対面授業に出席できない生徒や自宅学習を希望する生徒、対面授業の対象外のカリキュラムも、リモート型の授業が継続される。
 サンパウロ州政府は2020年に、7億レアルをつぎ込んで対面授業再開のための環境整備などにつとめた。21年はさらに7億レアルを追加して、インフラ面の整備を行うほか、教職員や生徒用の衛生管理用資材を調達、配布する。具体的には1万150個の体温計、1200万個の布マスク、30万8千個のフェイス・シールド、11万2千リットルのアルコール・ジェルなどを用意している。
 なお、サンパウロ市の市立校での対面授業は15日から開始される。