《ブラジル》強盗「後悔してる」=メダル33個が奇跡的に戻る=体操男子代表の日系アルツール・ノリー

戻ってきたメダル33個を身に着けて喜ぶノリーと軍警(Reproducao/Blog da PMESP)

 男子体操のブラジル代表選手、日系人のアルツール・ノリーが5日、押し込み強盗の被害に遭い、19年の汎米大会や体操の世界選手権などで得たメダルなど、計33個を盗まれた。だが、犯人が後悔してゴミ箱に放置したメダル入りの箱が見つかり、全てのメダルが本人の手に戻った。
 サンパウロ市西部の自宅が2人組に襲われ、家人二人が縛り上げられた上、汎米大会などで得たメダルなどを盗まれた。その事を知った汎米スポーツ機構は8日、汎米大会のメダル(オリジナル)3個をノリーに贈る事を決めた上、会長名で本人の実績を褒め称えるメッセージも公開した。
 メッセージでは、本人が16年のリオ五輪の床で銅メダルを獲得後、世界選手権では平行棒で優勝した事、19年のリマ大会でも目覚ましい活躍を見せた事を挙げ、素晴らしい選手と称賛。
 「メダルは物的な資産でしかないかも知れないが、各メダルには各大会に向けて流した汗や努力、様々な思いが込められているはず」とし、リマ大会のメダル3個(団体の金、個人総合と平行棒の銅二つ)を早急に送る事も約束した。

 強盗被害に遭ったのが五輪への出場経験などもある代表選手であった事や、汎米スポーツ機構が本人を慮り、メダルを贈ると約束した事などは広く報道され、犯人の知るところとなったようだ。
 9日夕方、調査中だった第14メトロポリタン軍警大隊所属の警官が匿名情報を得て、オザスコ市テオトニオ・ヴィレラ街のごみ箱の中に放置されていたメダル入りの箱を見つけ、ノリーに連絡と取った。
 警官が見つけたメダル入りの箱は同日夜、本人に返却された。箱の中には犯人が書き記した「後悔しています」という手紙が入っており、戻ってきたメダルは犯人の手できれいに掃除されていたという。
 なお、16年のリオ五輪で得た床での銅メダルや19年のシュツゥットガルトでの世界選手権の平行棒で優勝した時の金メダルは別の場所に保管されていたため、盗難被害には遭わずに済んだ。(8~10日付エスタード紙電子版、9日付G1サイト、8、10日付アジェンシア・ブラジルより)