コロナ禍=サンパウロ州などで入院患者が増加=昨年のピーク上回る病床占有率も=中断した予防接種の再開間近

感染拡大抑制への期待がかかる予防接種ワクチンの一つ(Tania Rego/Agencia Brasil)

 26日で新型コロナの最初の感染者確認から1年になる。現在のブラジルは感染第2波の中にある上、変異株の拡散やカーニバル期間中の3密発生などを受け、病床占有率が100%か満床間近、入院患者が過去最高、外出規制強化といった報道が各地で続いている。
 他方、ワクチン不足で中断した予防接種の再開のめどがたち、状況好転への期待が高まったとも23日付現地紙、サイトが報じた。
 新型コロナの予防接種を1回は受けた人は22日現在で598万2640人で、この内の126万9005人は2回目も受けた。22日現在の感染者は1019万5160人で感染率は4万8514人/100万人、死者は24万7143人で死亡率は1176人/100万人となった。
 日曜日と月曜日は感染者や死者の報告数が減るため、14~20日(感染学上の第7週)で見ると、同週の新規感染者は32万304人で前週を5・6%上回った。1週間の死者は7445人で前週より1・0%減ったが、前週の7520人は昨年7月19~25日の7677人に次ぐ2番目で、第7週は1月24~30日の7500人に次ぐ4番目だから、状況は依然として厳しい。
 第7週は、新規感染者が前週より増えた州が15、死者が増えた州は16あった。直近7日間で見た1日平均の死者は1千人超の状態が続いており、予断を許さない。
 感染力が強い変異株の市中感染、学校での対面授業再開、カーニバルの3密発生なども気がかりだ。カーニバルの行事は違法なイベントや集会が続いた。こういった動きは、病床占有率上昇や入院患者増加、外出規制強化を招く。

 サンパウロ州では新規入院者自体は減少傾向にあるが、重症患者の入院期間が以前よりも長期化し、結果的に入院中の患者数が増え、病床占有率が上昇していると報道されている。
 22日の会見で集中治療室の入院患者は前週比5・6%増の6410人となったと発表。この数字は昨年7月5日の6250人を上回り、24日に外出規制強化の見込みだ。同州アララクアラ市はロックダウンを強化し、サンベルナルド・ド・カンポ市やカンピーナス市も夜間の外出を禁止した。
 同様の措置は他州でも採られており、リオ・グランデ・ド・スル州では11地区を黒レベルとし、23日から夜間外出を禁止。バイア州も22日、23日からは海岸や運動クラブと練習場の閉鎖も宣言。ピアウイ州も同日、ロックダウン採用を決めた。南部や北東部はほぼ全州、中西部は半分の州で感染者と死者の双方が増加中だ。
 他方、ワクチン不足で中断が相次いでいた予防接種は、ブタンタン研究所が23日に426万回分のコロナバックの納品を開始した事、同日朝、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)が輸入したオックスフォード・ワクチン200万回分が到着した事で、再開に向かう。
 国家衛生監督庁(Anvisa)は23日にファイザー社のワクチンの正式登録を承認。連邦政府は同社が提示した条件を嫌い、購入契約を結んでいないが、正式登録承認で状況が変わり得る。保健省は既に、同庁が緊急使用さえ認めていないロシア製ワクチンやインド製ワクチンの購入を決めている。