《記者コラム》予防接種の割り込み告発4700件

ドライブスルーで接種を受ける83歳の男性(Nailana Thiely / Ascom Uepa)

ドライブスルーで接種を受ける83歳の男性(Nailana Thiely / Ascom Uepa)

 24日朝、ノートパソコンを開いた途端、予防接種開始以来の割り込み告発が4700件との記事が目に飛び込んだ。
 その前にも、政治家や企業家、医療関係者とその家族が優先グループでもないのに接種を受けたとか、高齢者の振りをして接種を受けようとしたといったニュースを聞いていた。だが、告発されたものだけで5千件弱の数字には驚いた。
 割り込みはモラルのなさを示すといえるが、11地区が黒レベルとなったリオ・グランデ・ド・スル州が1位、先週の感染者が前週比で148%増えたリオ・グランデ・ド・ノルテ州が2位といった数字を見ていると、「少しでも早く接種を受けて助かりたい」という焦りともとれる。
 新型コロナの大流行で日常生活や家計が崩壊した人や家族や知人を失った人達は、「1日も早いパンデミック終息を」と声を大にして叫びたい事だろう。感染再燃でコントロールを失った国なら、予防接種にかける期待はより大きい。
 昨年の世論調査では予防接種を受けると答えた人は4人に3人だった。副反応などが怖くて受けられない人もいるが、実際に接種が始まったのを見て、自分も受けたいと思う人は増えたはずだ。
 変異株出現で感染が再燃しているのに、いつ接種が受けられるかわからないという状況は焦りを生じさせるのに充分だ。従来は高リスクとは見られなかった人達の入院例や死亡例が増えているのだから、なおさら焦る。ワクチン不足で予防接種中断といった報道も不安をあおった事だろう。
 だがこんな時だからこそ、平常心を保ちたい。経済が止まるのを恐れて外出規制を緩めた事で感染が拡大し、自分達の望みのままに年末年始やカーニバルを祝った事で感染が再燃した事を思い出した方が良い。
 感染者や死者の早期減少を願いつつ、「予防接種は年内に完了」との保健相の言葉の実現を祈りたい。 (み)